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コレクション展 2023-Ⅱ
コレクション・ハイライト+ コレクション・リレーションズ[ゲストアーティスト:小森はるか+瀬尾夏美]

2023年11月25日(土) — 2024年4月7日(日)

小森はるか+瀬尾夏美《11歳だったわたしは》2021
撮影:小岩勉 提供:せんだいメディアテーク

本展は第1室から第3室にかけて、当館コレクションの特質に親しんでいただくとともに、関連するテーマに沿った展示をあわせて紹介します。第4室は「コレクション・リレーションズ」と題し、展示内容をコレクションに限定せず、当館の収集方針や収集された作品、あるいは、広島という地域などと関連したコレクション展示の延長線上に位置付けられる企画を実施していきます。
※会期中に展示替えあり
 
展覧会リーフレット

コレクション・ハイライト

◯作家/スタイル

美術作家たちは、それぞれの探究をとおして、自身の創作世界を創り上げていきます。その中で作家としての特徴が現れてきますが、そのあり方はそれぞれです。ひとつの決まったテーマを追求する作家や、技法に独自性を備える作家もいます。なかには、ひと目見るだけで誰の作品かが分かるようなスタイルに辿りつく作家たちもいます。ここに、とりわけ作風が分かりやすい形で表れている作家たちの作品を集めました。

◯作家と風景

現代美術において、自然の風景や身近な風景をあらわした作品は、絵画にかぎらず、写真や立体、映像など、多彩な素材や技法でつくられます。さらに作家たちは、異なる複数の視点から見た風景をひとつの画面上に構成して描いたり、カメラの中にガラス玉を入れて撮影するなど、独自の視点と手法によって風景をとらえ、日常的な何気ない風景の見え方をも変容させます。現代の作家たちによる豊かな風景の表現をお楽しみください。

◯若林奮《DOME》関連資料

2023年は、彫刻家・若林奮(1936〜2003)の没後20年にあたります。若林は鉄を素材とした彫刻を通して、人間が自然とどのように向き合うかを問い続けてきました。現在、地下1階の第3室では、「ヒロシマ」をテーマとした制作委託を受けて、原爆ドームをモチーフに制作した《DOME》(1988)と《水鏡》(1997)を展示しています。ここでは《DOME》制作に際して若林が残したドローイングや模型を紹介し、作家の思索をたどります。

◯広島/ヒロシマの風景

広島について、被爆地としての特質を意識して語られる際、しばしば「ヒロシマ」とカタカナで表記されます。当館の収集方針のひとつに「ヒロシマと現代美術の関連を示す作品」があります。今回は、主に広島/ヒロシマの風景を主題とした作品に注目します。戦前の風景から、その後の復興により大きく変わっていくヒロシマ以後のまちの姿を、それぞれの作家の目を通してたどります。あわせて、日常に溶け込む戦争の痕跡や戦争の影を暗示する作品のように、広島以外の地域においても、戦争がもたらす風景の変化をとらえた表現をとりあげます。


出品作家(※展示予定順)

ジム・ダイン、アグネス・マーチン、マーサ・ロスラー、ディン・Q・レ、やなぎみわ、金昌烈、石川順恵、松江泰治、野村仁、オノデラユキ、エイドリアン・バーグ、大竹伸朗、ディヴィッド・ホックニー、宮本隆司、佐藤正明、佐藤聖美、リチャード・エステス、マーク・ボイル、吉村益信、内間俊子、若林奮、山路商、浜田知明、丸木位里、丸木俊、森冨茂雄(特別出品)、岡田黎子(特別出品)、殿敷侃、灰谷正夫、新延輝雄、土田ヒロミ、小沢剛、佐野ぬい、多田美波、西雅秋、下道基行、ミヤギフトシ、米田知子

コレクション・リレーションズ

ゲストアーティスト:小森はるか+瀬尾夏美

映像作家の小森はるかと、絵や文章をつくる瀬尾夏美によるアートユニットをゲストにむかえます。ふたりは2011年の東日本大震災をきっかけにユニットによる活動を開始し、翌年から3年間、岩手県陸前高田市に暮らしながら、移り変わるまちの風景やそこに暮らす人々の体験や記憶と向き合ってきました。現在は全国各地に赴いて人々のことばを記録し、それらを他者や未来へと伝えるための表現活動や対話の場づくりを行っています。
ここで紹介するのは、復興事業の嵩上げ工事とともに変わりゆく陸前高田市の風景の記録に加え、同地を訪れた四人の若者たちが、そこに暮らす人々の語りから生まれた物語『二重のまち』を朗読する様子を記録した映像作品《二重のまち/四つの旅のうた》(2020)。そして、11歳から90代までの幅広い世代に11歳の頃の記憶を尋ねるプロジェクト「11歳だったわたしは」(2021-)、さらには広島でのリサーチを経てつくられた作品等です。それらは、わたしたち各々が「当事者」「非当事者」という立場によらず、震災や戦争をはじめとした大きな出来事に空間や時間を超えて関わる方法として、自らの体験を語ること、他者の語りを聞くこと、語り合うことの可能性を浮かび上がらせます。

エイドリアン・バーグ《シェフィールド公園1985-86年秋》1985-86

小沢剛《地蔵建立 -旧広島市民球場[広島県]》2009

小森はるか+瀬尾夏美《11歳だったわたしは》2021
撮影:小岩勉
提供:せんだいメディアテーク

基本情報

会期
2023年11月25日(土) — 2024年4月7日(日)
開館時間
10:00–17:00

※入場は閉館の30分前まで

会場
広島市現代美術館 A展示室
アクセス
休館日
月曜日(ただし1/8、2/12は開館)、年末年始(12/27—1/1)、1/9(火)、2/13(火)
観覧料
一般350(250)円、大学生250(150)円、高校生・65歳以上150(100)円、中学生以下無料
※( )内は30名以上の団体料金
割引
【ハロー!コレクションデー】
毎月第3日曜日:コレクション展無料

関連イベント

ゲストアーティスト・プロフィール

Photo: Naoshi Fuda

小森はるか+瀬尾夏美(こもり・はるか+せお・なつみ)

映像作家の小森はるか(写真右)と絵や文章をつくる瀬尾夏美(写真左)によるアートユニット。2011年の東日本大震災をきっかけにユニットとして活動を開始した。2012年より3年間、岩手県陸前高田市に暮らしながら制作に取り組む。2015年、東北で活動する仲間とともに、土地とかかわりながら記録をつくる組織・一般社団法人NOOK(のおく)を設立。現在はそれぞれ新潟と東京に拠点を移しながら、活動を展開している。主な作品に《波のした、土のうえ》(2014)、《二重のまち/交代地のうたを編む》(2019)、《11歳だったわたしは》(2021)、《山つなみ、雨間の語らい》(2021)がある。

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