開催中

被爆80周年記念
記憶と物
―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ―

2025年6月21日(土) — 9月15日(月・休)

比治山の《加藤友三郎元帥銅像》(1935)台座(現在)

本展は戦争や原爆の「記憶」と、美術作品をはじめとする「物」との関係をテーマとしています。当館の位置する比治山にかつてあった、戦中の銅像やその作り手、戦後に再建された像の例から、それらが関係した記憶の形成、忘却、再構成について考えます。また、モニュメント、ミュージアム、アーカイブといった記憶形成に関わる物や活動に関心を持ち、主題として取り扱うアーティストの試みからは、過去を現在との連続性において捉え、過去の営みと対話的に向き合う姿勢を垣間見ることができるでしょう。それらに加え、美術館活動を後付けるコレクションからなる本展は、表現や制度を通して形成される戦争の記憶、当事者性、過去を継承する可能性についての対話的、建設的な議論と思索の場となることを目指しています。

展覧会チラシ 作品リスト

 
 
◯比治山の空の台座から
上田直次、吉田正浪、青山三郎

◯過去との対話(招聘アーティスト)
黒田大スケ、毒山凡太朗、蔦谷楽、フィオナ・アムンゼン、小森はるか+瀬尾夏美

◯広島現美コレクションより
丹下健三、イサム・ノグチ、島州一、曺 徳鉉、ヘンリー・ムーア、丸木位里+丸木俊、殿敷侃

招聘アーティスト・プロフィール

黒田大スケ《自由の女神について》2022 ©Daisuke Kuroda

黒田大スケ(くろだ・だいすけ)

1982年、京都府生まれ、同地在住
広島市立大学にて彫刻を学び、同大学院博士後期課程修了。2012年、広島を拠点とする彫刻家らとアーティスト・ラン・スペース「広島芸術センター」を開設、2024年の活動休止まで運営に携わりました。2019年から翌年にかけて、文化庁新進芸術家海外研修員にてアメリカ、フォートワースに滞在、帰国後は京都を拠点に制作活動を行なっています。近年は、まるで幽霊のように社会に偏在する忘れられた存在に注目し、過去の彫刻に関するリサーチを基に、近代以降の彫刻家やその制作行為をモチーフとした映像を中心とする作品を発表しています。

毒山凡太朗《令和之桜│Reiwa Cherry Blossoms -75 years After WW II 》 2020 ©Bontaro Dokuyama, Photo by Kenji Morita, Courtesy of LEESAYA

毒山凡太朗(どくやま・ぼんたろう)

1984年、福島県生まれ、東京在住
2011年3月11日に発生した東日本大震災と、それに伴う東京電力福島第一原発事故によって故郷の状況が一変したことをきっかけに、勤めていた職を辞し、アーティスト活動を始めました。彼は様々な事象に取材し、映像や立体、インスタレーションを中心とした作品を発表しています。それらは主に、歴史や社会において見えにくくなっていることがらに着目し、自身が様々な地に赴き、現地での調査や人々との交流を通して、自らを媒体として状況に介入することで作品化したものであり、それらの主題に光を当てようとするものです。

蔦谷楽《Spider’s Thread: This Landscape》 2020 ©Gaku Tsutaja, Courtesy of Ulterior Gallery

蔦谷楽(つたや・がく)

1974年、東京都生まれ、アメリカ、ニューヨーク在住
1998年、東京造形大学絵画専攻卒業。アーティストユニット「gansomaeda」として活動後、2006年に渡米し、ニューヨーク州立大学SUNYパーチェス・カレッジで美術修士号を2018年に取得しました。東日本大震災に伴う原発事故を機に、核や戦争を巡る歴史的事実や記憶について調査を開始し、ドローイング、立体、映像、パフォーマンスなど様々なメディアで作品化。日米の研究者やジャーナリスト、被ばく者から聞いた話や、アーカイブに保管される記録写真や資料をベースに、寓話的要素を取り入れながら、国境を越えた問題として再解釈・再構築を試みています。

フィオナ・アムンゼン、鹿鳴家英志《An Ordinary Life》2021 ©Fiona Amundsen, Kanariya Eishi

フィオナ・アムンゼン

1973年、オークランド、アオテアロア(ニュージーランド)生まれ、同地在住
オーストラリアのモナシュ大学で博士号(哲学)を取得。特定の歴史的出来事、目撃することの社会的責任、映像制作の倫理との関係を確立することを研究テーマとしています。機密解除された軍事記録を自身で撮影した写真や映像で編集し、歴史的か否かにかかわらず、植民地帝国主義による暴力行為に対して、視覚的な傾聴や記視覚的証言のかたちをとる可能性を調査しています。最近のプロジェクトは、冷戦期の軍事核技術、軍事資本主義、環境破壊、精神性との関係を探り、さらには、アジア太平洋戦争(第二次世界大戦)にまつわる物語や経験を記憶するための代替的な方法を調査しています。

小森はるか+瀬尾夏美《11歳だったわたしは 広島編》(2023-)制作風景

小森はるか(こもり・はるか)

1989年、静岡県生まれ、新潟県在住
映画美学校フィクション初等科と東京藝術大学大学院美術研究科先端表現専攻を修了。2011年の東日本大震災後、ボランティアで東北沿岸部を訪れたことをきっかけに、瀬尾夏美とアートユニットとして活動を開始します。翌年から3年間、岩手県陸前高田市に拠点を移し、人々の語り、暮らし、風景を映像で記録してきました。2015年、東北で活動する仲間とともに、土地と関わりながら記録をつくる一般社団法人「NOOK」を設立。2022年より新潟に移住し、新潟水俣病患者に寄り添ってきた旗野秀人を被写体とした《春、阿賀の岸辺にて》(2025年)を制作します。

瀬尾夏美(せお・なつみ)

1988年、東京都生まれ、同地在住
東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。”語れなさ”に着目しながら各地を旅し、絵や文章をつくっています。2011年の東日本大震災後、ボランティアで東北沿岸部を訪れたことをきっかけに小森はるかとアートユニットを結成し、翌年から3年間、岩手県陸前高田市を拠点に活動しました。2015年、東北で活動する仲間とともに、土地と関わりながら記録をつくる一般社団法人「NOOK」を設立。現在は江東区でStudio04を運営しながら、過去の災禍の記録のリサーチと、現在進行形の災禍の記録を行い、それらを活用した表現を模索するプロジェクト「カロクリサイクル」も手がけます。

上田直次《加藤友三郎元帥銅像》1935

丹下健三《広島平和記念公園模型》(1/300縮尺)1950/2015

イサム・ノグチ《広島の原爆死没者慰霊碑(1/5模型)》1952/1991

黒田大スケ《自由の女神について》2022 ©Daisuke Kuroda

毒山凡太朗《令和之桜│Reiwa Cherry Blossoms -75 years After WW II 》 2020 ©Bontaro Dokuyama, Photo by Kenji Morita, Courtesy of LEESAYA

蔦谷楽《Spider’s Thread: This Landscape》 2020 ©Gaku Tsutaja, Courtesy of Ulterior Gallery

フィオナ・アムンゼン、鹿鳴家英志《An Ordinary Life》2021 ©Fiona Amundsen, Kanariya Eishi

小森はるか+瀬尾夏美《11歳だったわたしは 広島編》(2023-)制作風景

基本情報

会期
2025年6月21日(土) — 9月15日(月・休)
開館時間
10:00–17:00

※入場は閉館の30分前まで

会場
広島市現代美術館 B展示室
アクセス
休館日
月曜日(ただし7/21、8/11、9/15は開館)、7/22(火)、8/12(火)
観覧料
一般1,600円(1,250円)、大学生1,200円 (900円)、高校生・65歳以上800円 (600円)、中学生以下無料 
※( )内は前売り及び30名以上の団体料金
※本展チケットで同時開催中のコレクション展もご覧いただけます
※原爆障害者章、身体障害者手帳ほかをお持ちの方と、その介添者は無料 詳細はこちら


【前売券】
オンラインショップ「339」
チケットぴあ〈Pコード 995-465〉
※前売券の販売は6月20日(金)まで
※広島市現代美術館の受付でも販売しています
主催
広島市現代美術館
後援
広島県、広島市教育委員会、中国新聞社、朝日新聞広島総局、毎日新聞広島支局、読売新聞広島総局、中国放送、テレビ新広島、広島テレビ、広島ホームテレビ、 広島エフエム放送、尾道エフエム放送

カタログ予約

予約特典は、展覧会オリジナルステッカー!

価格|3,000円+税
仕様|B5変型、160ページ
言語|日英バイリンガル
アートディレクション|野村勝久(野村デザイン製作室)
印刷|柏村印刷株式会社
発行|広島市現代美術館

※カタログのデザインは変更になる場合があります

イベント・カレンダー

開館時間10:00-17:00
TEL082-264-1121