美術館について

緑豊かな丘に

広島市現代美術館は、全国で初めて現代美術に本格的に取り組む公立美術館として1989年5月3日にスタートしました。建物は、建築家・黒川紀章による設計で、市内を見渡す緑豊かな比治山公園に位置しています。自然の景観と調和しながら、美術館としての先駆性が表現されており、垂直軸に沿って下から順に自然石、タイル、アルミと変化する素材は、過去から未来への文明の発展や時間の流れを表し、設計者独自の「共生の思想」を体現しています。

館長あいさつ

広島市現代美術館は、このたびリニューアルオープンを迎えます。
1989年の開館以来、30年を超えて活動をして参りましたが、これからを見据え、二年にわたる大規模な改修工事をおこないました。

国内で公立としては初めて現代美術を冠したこの美術館は、広島の地にあって、地域の方々はもちろん、国内外を問わず、たくさんの人々をお迎えしてきました。なによりヒロシマが希求する恒久平和への考えを、現代美術を通じて感じ、考えられる場として続けてきた活動は、この館のもっとも重要な一面でしょう。10数年ぶりに購入することがかない、あらたに収蔵品となったシリン・ネシャットの《Land of Dreams》は、第6回ヒロシマ賞受賞者である彼女の、その出自とともにヒロシマとのつながりを如実に示す作品で、この美術館を代表するもののひとつとなるはずです。

戦後80年近くが経過し、当館の収集対象である戦後美術もそれなりの歴史をもつようになりつつあります。それらはすでに現在の私たちとは異なった時空のなかで生みだされたものであり、それらへのアプローチは作家自身の考えのみならず、その時代状況を理解する必要もあります。他方、現存作家の作品による展覧会などの活動は、これからもより盛んになっていきます。作品を通して作家と出会い、その表現世界を知り、そして語り合うことによって、私たちは自分自身とも向き合うことになります。誰もが年齢や性別、そして地域、あるいは宗教などのさまざまな違いのなかで、互いを尊重し、自らを知る場として、この美術館がひとりでも多くの方々の拠り所となることを目指して、活動を始めたいと思っています。

きれいになった美術館に足をはこぶ機会を作っていただけますことをお願い申しあげ、来館を心よりお待ちしております。

2023年3月
広島市現代美術館
館長 寺口淳治

基本理念

美術館の基本理念は、「広島市現代美術館基本計画」において、以下の4点に定められています。

・現代をみつめ、未来への展望をきりひらく美術館
・国際的視野をもった美術館
・新しい文化創造の核となる美術館
・都市の活性化につながる美術館

作品の収集方針

・主として第二次世界大戦以降の現代美術の流れを示すのに重要な作品
・ヒロシマと現代美術の関連を示す作品
・将来性ある若手作家の優れた作品

以上の3点を掲げて、国内外の作品収集に努めています。

活動の概要

・広い分野からの作品の収集、保存、供用
・多種多様なテーマやジャンル、規模の展示
・コミュニケーションを活性化するバラエティ豊かな普及活動
・美術や美術館についての調査研究

以上の4つの柱を中心に、美術館が公共施設として担うべき幅広い使命を事業に反映させるとともに、市民及び利用者のあらゆる人が、美術に対する関心度や知識の違い、さらには年齢、性別、国籍、収入、家庭環境、身体的特徴等の違いにかかわらず、それぞれに楽しみ、つねに満足することのできる多様な事業を持続可能なかたちで計画し、実現していきます。

事業の特徴

「開館30周年記念特別展 美術館の七燈」(2019年)展示風景(Photo: Kenichi Hanada)

特別展

国内外の美術館の様々な動きや、美術の枠を広げ続ける現代の表現を、個展、グループ展などの多彩なラインナップにより紹介しています。美術を通じて現代の文化の多様性に触れ、新たな価値観に出会える機会を作り出していきます。

コレクション展示風景(Photo: Kenichi Hanada)

コレクション展

当館コレクションの魅力を伝えるハイライト展示や、収集の重要な軸である「ヒロシマ」をテーマにした展示を行っています。また、現代の多様な美術表現に多角的にアプローチするため、コレクションを起点にした企画展示を展開しています。

澤田華「澤田華 360°の迂回」(2020)展示風景(Photo: Kenichi Hanada)

オープン・プログラム

美術や美術館を参加者とともに広くひらいていくためのワークショップやプロジェクトを、展示室や多目的スペース「モカモカ」、パブリックスペースにおいてバラエティ豊かに開催しています。

イベント・カレンダー

開館時間10:00-17:00
TEL082-264-1121