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コレクション展2023-Ⅰ
コレクション・ハイライト+コレクション・リレーションズ[村上友重+黒田大スケ:広島を視る]

2023年7月1日(土) — 11月12日(日)

Photo: Keita Otsuka + Shunta Inaguchi

長期休館とリニューアル記念特別展を終え、このたびいよいよコレクション展が再開します。
本展は第1室から第4室にかけて、当館コレクションの特質に親しんでいただくとともに、関連するテーマに沿った展示を紹介します。第1から第3室にかけては「コレクション・ハイライト」として、それぞれの部屋に添えられたキーワードを通して収蔵作品をご覧いただきます。そして、第4室では「コレクション・リレーションズ」と題し、展示内容をコレクションに限定せず、当館の収集方針や収集された作品、あるいは、広島という地域などと関連した、コレクション展示の延長線上に位置づけられる企画を実施していきます。
※会期中に展示替えあり
 
展覧会リーフレット

コレクション・ハイライト

◯ウェルカム・バック

休館中の館外活動で役割を担った作品、あるいは作家による作品から紹介します。平野薫は平和大通りに面した展示空間であるヱビデンギャラリーにて、コレクションとは異なる作品展示「傘」を行いました。また、三宅一生、加藤立、横尾忠則、草間彌生らの作品は、市内各所で開催した当館のコレクション展示にて紹介したものです。なかには、そうした機会に触れ、親しみを持ってこれらの作家、あるいは作品に出会いなおす方々もいらっしゃるかも知れません。印象の違いや、変わらぬ持ち味、あるいは、休館中の人々との出会いを思い描きながらお楽しみください。

◯作家/スタイル

美術作家たちは、それぞれの探究をとおして、自身の創作世界を創り上げていきます。その中で作家としての特徴があらわれてきますが、そのあり方はそれぞれです。ひとつの決まったテーマを追求する作家や、技法に独自性を備える作家もいます。なかには、ひと目見るだけで誰の作品かが分かるようなスタイルに辿り着く作家たちもいます。ここに、とりわけ作風が分かりやすい形で表れている作家たちの作品を集めました。気になった作品があれば、作家名を心に留めておいてください。「見たことある作家」が「知っている作家」に、そしていつか「お気に入りの作家」となりますよう。

◯「ヒロシマ」と現代美術

広島について、被爆地としての特質を意識して語られる際、しばしば「ヒロシマ」とカタカナで表記されます。当館の収集方針のひとつに「ヒロシマと現代美術の関連を示す作品」があります。そこには、3年に一度開催している「ヒロシマ賞」の受賞作家のように、原爆被害にとどまらず、戦争や平和、あるいはより広く、人間の苦悩や喪失に向き合う作家の表現も含まれています。また、「ヒロシマ」をテーマとした制作委託による収集も行ってきました。これらの作品が映しだすのは、被爆地としての広島であるばかりではなく、その歴史に関連づけながら見えてくる世界の姿でもあります。


出品作家(※展示予定順)

平野薫、三宅一生、加藤立、横尾忠則、草間彌生、イヴ・クライン、アンディ・ウォーホル、マグダレーナ・アバカノヴィッチ、方力鈞、李禹煥、田中敦子、福島秀子、ルイーズ・ニーヴェルソン、吉澤美香、日高理恵子、金氏徹平、井上武吉、モナ・ハトゥム、丸木位里・丸木俊、若林奮、荒木高子、工藤哲巳、殿敷侃、高松次郎、アルパナ・カウル、堂本右美、福田美蘭、唐大霧、青木野枝、諏訪敦

コレクション・リレーションズ

村上友重+黒田大スケ [広島を視る]

写真を主な表現手段とする村上友重と、近現代彫刻に関する調査をもとに映像作品を手がける黒田大スケの二人をゲストアーティストに迎え、広島との関わりのなかで生まれた作品をとおして、各々の視点から見出だされた広島をご覧いただきます。
村上は、物質が光に反応し変質する現象に関心を寄せ、カメラを用いない方法を含む、幅広い写真技術を活用します。彼女は広島で、紙に塗布した薬品を感光させる「光の採集」ともいえる行為や、光を受けて生育する植物の観察を行いました。他方、黒田大スケは、広島の平和記念公園周辺などに設置される彫刻を題材とし、その作者や制作の背景に関する調査をすすめます。こうして得られた情報をもとに、それら彫刻家達に成り代わり、ユーモラスに心情を吐露する演技を映像におさめました。2022 年1 月から2 月にかけて、当館の休館中プログラムとして広島城二の丸を会場に、文化庁、広島城との共催のもと「どこかで?ゲンビ and DOMANI『村上友重+黒田大スケ』」を開催しました。コロナ禍の感染拡大予防のため、わずか5 日間の開催に終わりましたが、本展ではその内容をもとにしながら、一部の改変や追加を加えた、アップデート版として実施します。

加藤立《I am a museum》2019
Courtesy of the artist ©︎Ryu Kato

平野薫《untitled -koinobori-》2017
Photo: Nozomi Tomoeda

村上友重《所有の方法、観察(花_2)》2021
Photo: Keita Otsuka + Shunta Inaguchi

黒田大スケ《瓦全のためのプラクティス》2022
Photo: Keita Otsuka + Shunta Inaguchi

基本情報

会期
2023年7月1日(土) — 11月12日(日)
開館時間
10:00–17:00

※入場は閉館の30分前まで

会場
広島市現代美術館 A展示室
休館日
月曜日
※月曜日が祝休日にあたる場合は開館、翌平日休館
観覧料
一般350円 (250円)、大学生250円 (150円)、高校生・65歳以上150円 (100円)、中学生以下無料
※( )内は30名以上の団体料金
割引
【ハロー!コレクションデー】
毎月第3日曜日:コレクション展無料
【文化の日】
11月3日:全館無料

ゲストアーティスト・プロフィール

村上友重(むらかみ・ともえ)

1980年、千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部総合人文学科文芸専修卒業。東京藝術大学での勤務を経て、2022年ノーザンブリア大学(イギリス)にてMA取得。現在、広島県を拠点に活動。
季節や時間帯によって移ろう光、温度や湿度で変わる空気など、見ているはずなのに見えない、不確かなものを風景のなかで捉え、写真作品として発表。近年は特に光への関心を深め、観察や分析といった行為も含めた作品の制作を試みる。

https://www.tomoemurakami.com/

黒田大スケ(くろだ・だいすけ)

1982年、京都府生まれ。広島市立大学大学院博士後期課程修了。彫刻家、橋本平八の研究で博士号取得。作品制作の他に展覧会の企画運営もてがける。アーティスト・コレクティブ「チームやめよう」主宰。現在、関西を拠点に活動。
彫刻に関するリサーチを基に、近代以降の彫刻家やその制作行為をモチーフとしたパフォーマンス的要素の強い映像を制作、シリーズとして展開している。

https://sites.google.com/view/daisuke-kuroda/home

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