SLEEPING BEAUTY (スリーピング・ビューティー)

広島市現代美術館

イヴ・クライン《ブルーのヴィーナス》

「眠れる美」はあなたとの出逢いを待っています。

イヴ・クライン《ブルーのヴィーナス》 1970 広島市現代美術館 蔵,ADAGP, Paris&JASPAR, Tokyo ©
2014 E0914

開館25周年記念特別展 スリーピング・ビューティー

美しいものと思いがけず出逢う時、私たちはおのずと幸せな気分を味わうでしょう。 かつて古代ギリシアにおいて「美」は、調和、均衡、秩序など一定の規定を満たし、直感的にとらえられる端的な形のあり様と考えられましたが、これらのいわゆる「美の規範」が失われてしまった近代以降、また、テーマやコンセプトが重視され、「美」の要素が作品の深層に潜むことの多い現代美術において、「美」はいかにして感覚的に知覚され得るのでしょうか。

この展覧会では「美」をテーマに、本年25周年を迎えた広島市現代美術館のコレクションを中心に紹介し、身体性にまつわる表現をとおして現代美術における「美」の諸相を考察します。 さまざまな表現のうちにある「眠れる美(スリーピング・ビューティー)」は、あなたとの出会いによる目覚めを待っているのです。

参加作家

ジャン・アルプ、マシュー・バーニー、
コム デ ギャルソン/川久保玲、マーティン・クリード、
ウィレム・デ・クーニング、ダン・フレイヴィン、
ルーチョ・フォンタナ、岩崎貴宏、ドナルド・ジャッド、
菊畑茂久馬、イヴ・クライン、草間彌生、
アンジュ・レッチア、モーリス・ルイス、
アグネス・マーティン、三木富雄、三宅一生、
宮本隆司、ヘンリー・ムーア、村上友晴、小谷元彦、
ゲルハルト・リヒター、志賀理江子、白髪一雄、
キキ・スミス、田口和奈、レイチェル・ホワイトリード

基本事項

会期 2014年5月17日(土)〜7月21日(月・祝)
開館時間

10:00〜17:00 ※7月20日、21日は19:00まで開館

※入場は閉館の30分前まで

休館日 月曜日

※ただし、7月21日は開館

観覧料 一般1,030(820)円、大学生720(620)円、
高校生・65歳以上510(410)円、中学生以下無料

※( )内は前売りおよび30名以上の団体料金

主催 広島市現代美術館、中国新聞社
後援 広島県、広島市教育委員会、広島エフエム放送、尾道エフエム放送

展覧会構成および主な作品紹介

身体の断片

身体から切り離された「断片」からは、不気味な美しさが感じられるだけでなく、
気持ち悪いけれど凝視せずにはいられないという、
人が潜在的にもつ衝動を呼び覚まします。

イヴ・クライン(1928年フランス、ニース生まれ、1962年歿)
三木富雄(1938年東京生まれ、1978年歿)作品を見る
小谷元彦(1972年京都生まれ、東京在住)

三木富雄 《耳》 1965年頃

三木富雄 《耳》 1965年頃


身体の動きの痕跡

身体の動きの痕跡を積極的に取り入れた表現を紹介します。

菊畑茂久馬 (1935年長崎生まれ、福岡在住)作品を見る
イヴ・クライン (1928年フランス、ニース生まれ、1962年歿)
ウィレム・デ・クーニング (1904年オランダ、ロッテルダム生まれ、1997年歿)
草間彌生 (1929年長野生まれ、東京在住)
モーリス・ルイス (1912年アメリカ、ボルチモア生まれ、1962年歿)
白髪一雄 (1924年兵庫生まれ、2008年歿)

菊畑茂久馬 《天河 七/Heavenly River 7》 1997年

菊畑茂久馬 《天河 七/Heavenly River 7》 1997年


デフォルメされた身体

不自然にゆがめられた身体や奇妙な箇所が強調された衣服など、
既存の美を規定していた枠から大胆にはみ出した不調和や異形への果敢な挑戦は、
型にとらわれない美の枠の広がりの可能性を示しています。

ジャン・アルプ (1886年ドイツ帝国、シュトラスブルク生まれ、1966年歿)
マシュー・バーニー (1967年アメリカ、サンフランシスコ生まれ、ニューヨーク在住)
コム デ ギャルソン/川久保玲 (1942年東京生まれ、東京在住)
ルーチョ・フォンタナ (1899年アルゼンチン、ロザリオ・デ・サンタフェ生まれ、1968年歿)
草間彌生 (1929年長野生まれ、東京在住)作品を見る
三宅一生 (1938年広島生まれ、東京在住)
ヘンリー・ムーア (1898年イギリス、ヨークシャー生まれ、1986年歿)
志賀理江子 (1980年愛知生まれ、宮城在住)
レイチェル・ホワイトリード (1963年イギリス、ロンドン生まれ、ロンドン在住)

草間彌生 《The Man》 1963年

草間彌生 《The Man》 1963年


身体反応としてのめまい

どこまでも広がる大海原や威風堂々とそびえる荘厳なものを
目の前にしたとき、自身の肉体の限界を感じ、
反射的に戦慄による身体の震えを感じるのではないでしょうか。
荘厳な対象への畏敬の念はときとして美しさを併せもつのです。

岩崎貴宏 (1975年広島生まれ、広島在住)
アンジュ・レッチア(1952年フランス、コルシカ生まれ、パリ在住) 作品を見る
宮本隆司 (1947年東京生まれ、東京在住)

アンジュ・レッチア 《海》 2013年

アンジュ・レッチア 《海》 2013年


身体性の排除

身体の関わりを敢えて否定したかのような、
単調な配色と厳密な幾何学的形態による表現を紹介します。
シンプルなパターンの規則的な反復は、
神秘的な存在や精神性を彷彿とさせます。

マーティン・クリード
(1968年イギリス、ウェイクフィールド生まれ、イギリス、ロンドンおよびイタリア、アリクディ在住) 作品を見る
ダン・フレイヴィン (1933年アメリカ生まれ、1996年歿)
ドナルド・ジャッド (1928年アメリカ、ニューヨーク生まれ、1994年歿)
アグネス・マーティン (1912年カナダ、マクリン生まれ、2004年歿)

マーティン・クリード 《作品番号1018》 2009年

マーティン・クリード
《作品番号1018》 2009年


不在の身体

人間の影の輪郭を線でなぞったとき絵画が誕生したというエピソードは、
絵画がその誕生から身体の不在と身体の投射による現前を
テーマとしていたことを物語っています。
存在すら確かでない無定型で混沌とした状態にも美しさは潜んでいるのです。

草間彌生(1929年長野生まれ、東京在住)
村上友晴(1938年福島生まれ、東京在住)
ゲルハルト・リヒター(1932年旧東ドイツ、ドレスデン生まれ、ケルン在住)
キキ・スミス(1954年ドイツ、ニュルンベルク生まれ、アメリカ、ニューヨーク在住)
田口和奈(1979年東京生まれ、東京在住)作品を見る

田口和奈 《窮迫の、深みの》 2009年

田口和奈 《窮迫の、深みの》 2009年

関連プログラム

映画上映会

2014年6月14日(土)14:00〜

本展出品作家、マシュー・バーニーによる映画《拘束のドローイング9》(2005年、135分)を上映します。
会場:地下1階ミュージアムスタジオ 定員100名

※鑑賞料700円、チケットは美術館受付、ミュージアムショップにて販売中(定員に到達次第、販売終了)

マシュー・バーニー

1967年サンフランシスコ(アメリカ)生まれ、ニューヨーク(アメリカ)在住。
イェール大学で医学を学んだ後、美術と体育学を専攻する。1987年に初めて試みられた「拘束のドローイング」シリーズでは、身体を拘束することで筋肉と創造性に抑制を与えてドローイングを行い、拘束によって蓄積されたエネルギーとその解放とを映像や彫刻として発表する。本作は、日本の茶道、捕鯨の伝統に関心を抱いたバーニーが捕鯨船「日新丸」を舞台に制作した映像作品である。

Photo: Chris Winget(C)2005 Matthew Barney

Photo: Chris Winget©2005 Matthew Barney


急遽開催決定!当館館長によるスペシャル・レクチャー 「コレクション形成の裏側」

2014年7月5日(土)14:00〜15:30

本展に出品中のアグネス・マーティン、ドナルド・ジャッドなど当館所蔵作品を中心に、
自身の体験を踏まえ、美術館でのコレクション形成について秘話も交えてお話しします。
会場:地下1階ミュージアムスタジオ

※申込不要

福永治

福永治

1955年、呉市(広島県)生まれ。
1980年に上智大学文学部哲学科を卒業。82年から呉市立美術館学芸員として活動を始める。 92年、広島市現代美術館へ異動、主任学芸員、96年に学芸課課長補佐。 97年には東京都現代美術館学芸部・課長補佐、99年から普及部長。 2003年に国立新美術館準備室が設立され、調査官として着任、06年から国立新美術館学芸課長、08年には副館長に就任。 2013年より広島市現代美術館館長を務める。現在、美術評論家連盟会員、多摩美術大学彫刻学科客員教授。


アーティスト・トーク

2014年7月12日(土)14:00〜15:30

本展出品作家の岩崎貴宏氏に自身の作品についてお話しいただきます。
会場:地下1階ミュージアムスタジオ

※要展覧会チケット(半券可)、申込不要

岩崎貴宏
Photo by WeAreTape

岩崎貴宏

1975年広島生まれ、広島在住。
歴史的建築物を水面に反射する鏡像と一体化させた木製の模型《Reflection Model》シリーズや、タオル等身近にある素材を利用して山並みや鉄塔を再現する《Out of Disorder》シリーズなど、精巧な手作業によって作りだされる繊細な作品を展開。本展では1950年に焼失する前の金閣寺と銀閣寺をモチーフとした《Reflection Model》シリーズを新作として発表している。

(左)《Reflection Model (Before the Fire)》 2014
(右)《Reflection Model (Silver)》 2014
Photo by Yoshihiko Shkada

(左)《Reflection Model (Before the Fire)》 2014
(右)《Reflection Model (Silver)》 2014
Photo by Yoshihiko Shikada


特別対談「藤野可織(小説家)×福永信(小説家)」

2014年7月21日(月・祝)14:00〜16:00

藤野可織氏(展覧会図録巻頭文執筆)と福永信氏の小説家おふたりを迎え、「美」をテーマにお話しいただきます。
会場:地下1階ミュージアムスタジオ 定員100名

※要展覧会チケット(半券可)、申込不要

※10時より美術館受付にて、整理券を配布します。

藤野可織

藤野可織

1980年生まれ。小説家。
学生時代に美学・芸術学を専攻し、『爪と目』(2003)で第149回芥川賞を受賞。身体にまつわる独特の表現を展開する。近著『おはなしして子ちゃん』(2013)では、ブラックで残酷、不気味だけれどキュートな視点から、ストーリーをくりひろげる。

福永信

福永信

1972年生まれ。小説家。
『星座から見た地球』(2010)、『こんにちは美術』(2012/編著)、『星座と文学』(2014)など実験的な作風が各方面から評価される。現代美術に造詣が深く、アート批評等、幅広い活動を行う。


学芸員によるギャラリートーク

2014年5月17日(土)、6月28日(土)14:00〜15:00

担当学芸員による作品解説です。

※要展覧会チケット、申込不要

スリーピングビューティー図録

展覧会をより深く知るための一冊。
学生時代は美学・芸術学を専攻し、『爪と目』 (2003年)で第149回芥川賞を受賞、身体にまつわる独特の表現を展開する藤野可織さんがこの展覧会図録のために執筆したテキストは必読です。ぜひお手元に。

[目次]

  • 美の正体についての考察 藤野可織(小説家)
  • 深奥で密かに瞬く美を目覚めさせるために 角奈緒子(広島市現代美術館学芸員)
  • 身体性の排除
  • 身体の動きの痕跡
  • デフォルメされた身体
  • 身体の断片
  • 身体反応としてのめまい
  • 不在の身体
  • 作家略歴
  • 出品リスト
  • 主な参考文献
アートディレクション&デザイン:近藤一弥 ISBN:978-4-939105-35-7
価格:2,300円(税込) 発行:広島市現代美術館
ページ数:128ページ 翻訳:クリストファー・スティヴンズ
仕様:B5変形/日英バイリンガル  

※会期終了後の購入について
売り切れ及び価格や送料が変更になる可能性がありますので、
館ウェブサイトのショップページでご確認ください。

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