展覧会概要

会期
2018年6月2日(土) – 8月26日(日)
開館時間
10:00 – 17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日(ただし、7月16日(月・祝)、8月6日(月)は開館)、7月17日(火)、8月7日(火)
観覧料
一般1,200円(1,000円)、大学生900円(700円)、高校生・65歳以上600円(500円)、
中学生以下無料※( )内は前売り及び30名以上の団体料金
主催
広島市現代美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
後援
広島県、広島市教育委員会、広島エフエム放送、
尾道エフエム放送
協賛
ライオン、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜

国内屈指の名品→広島へ!

20世紀の美術は、次々に現れる前衛的な美術運動によって彩られています。シュルレアリスムから戦後の抽象表現主義、ポップ・アートまで、欧米を中心に展開した美術の流れは、モダンアートとも呼ばれています。
1979年に開館した福岡市美術館は、近現代美術と古美術を二つの柱とした16,000点に及ぶ幅広いコレクションをもつ美術館として知られています。 2019年のリニューアルオープンに向けた大規模な改修工事の期間にあることを貴重な機会として、この展覧会では同館が所蔵するヨーロッパとアメリカ、そして日本の優れた作品約70点を一堂に紹介し、モダンアートの歴史を改めてたどります。

アルマン クロード・ヴィアラ アンディ・ウォーホル ルイ・カーヌ イヴ・クライン マルク・シャガール フランク・ステラ アントニ・タピエス サルバドール・ダリ ジャン・デュビュッフェ ポール・デルヴォー マーク・トビー ジャン=ミシェル・バスキア ジャン・フォートリエ ルチオ・フォンタナ レオナール・フジタ ジグマール・ポルケ リサ・ミルロイ ジョアン・ミロ ロバート・ラウシェンバーグ ロイ・リキテンシュタイン マーク・ロスコ 赤瀬川原平 池田龍雄 石橋泰幸 瑛九 榎倉康二 海老原喜之助 大竹伸朗 オチオサム 尾花成春 風倉匠 金村修 河原温 菊畑茂久馬 草間彌生 工藤哲巳 桑山忠明 桜井孝身 篠原有司男 嶋本昭三 白髪一雄 辰野登恵子 タイガー立石 田中敦子 田部光子 中村宏 野見山暁治 原口典之 藤野一友 松谷武判 三岸好太郎 向井修二 元永定正 やなぎみわ 柳幸典 山内重太郎 山崎直秀 横尾忠則 吉原治良

第1章 夢の中のからだ

画家にとって古くから重要なモチーフである人間のからだ。
そのからだが現実から離脱し、夢の中のような光景に描かれた作品を紹介。

レオナール・フジタ(藤田嗣治) 三岸好太郎 ジョアン・ミロ

マルク・シャガール ポール・デルヴォー サルバドール・ダリ 藤野一友

©Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2018 C2147

サルバドール・ダリ《ポルト・リガトの聖母》 1950年

サルバドール・ダリは、合理主義を否定し、夢や無意識に潜む人間の非合理的な欲望の解放を目指したシュルレアリスム運動の代表的な画家である。しかし、運動の指導者であったアンドレ・ブルトンと次第に思想的に対立し、カトリックや古典絵画への回帰を唱えた。本作は、原爆投下に衝撃を受けて原子物理学への関心を深めていった画家の、戦後の新しい展開を考える上で極めて重要である。ダリの愛妻ガラの姿で描かれた聖母をやや斜め上から見下ろす構図で、伝統的なキリスト教図像とともに祭壇中央部には原子核構造が配され、宙を漂う物体は観者の平衡感覚を失わせる。核の恐怖に支配された「神」なき世界にあって、私たちは「神」の視点から世界を見渡しているのだろうか。

第2章 不穏な身体

傷を負った身体、切断された身体、身体そのものの痕跡…。
触覚に強く訴えかけるような、不穏さを秘めた身体の表現を探る。

河原温 池田龍雄 海老原喜之助 ジャン・デュビュッフェ

野見山暁治 イヴ・クライン 工藤哲巳

イヴ・クライン《人体測定 (ANT 157)》 1961年

青などの塗料を裸体に塗り付けたモデルが紙に体を押し付けることによって生み出された作品である。1960年に始まったこの〈人体測定〉のシリーズは、しばしばオーケストラの演奏を伴うイベントとして公開制作された。これらの〈人体測定〉は、イヴ・クラインが日本に滞在中に目にした力士の手形や魚拓に着想を得たとも、また広島に投下された原爆によって建物に焼き付けられた人の影に関係しているともいわれており、スプレーによって人のかたちを吹き付けたタイプのものもある。「自然のなかの人間をその痕跡、しるしによって示したい」というクラインの言葉通り、ここにあるのは人間の痕跡そのものである。

第3章 身体と物質

画面に火を放つ、足で絵の具を押し広げる―激しい行為による制作がなされるとき、
身体は描かれる対象から描く主体へと転換し、作品は物質へと接近する。
その様相を九州派具体アンフォルメルの作品からたどる。

山内重太郎 桜井孝身 石橋泰幸 田部光子 尾花成春 菊畑茂久馬

田中敦子 嶋本昭三 元永定正 白髪一雄 松谷武判 吉原治良 オチオサム

向井修二 マーク・トビー アントニ・タピエス ジャン・フォートリエ

菊畑茂久馬 《葬送曲No.2》 1960年

早くに両親を失い、天涯孤独の菊畑茂久馬は、好きだった絵をきっかけに兄貴分のような画家たちと出会う。やがてそれは九州派の渦となった。そこは彼にとり理想郷だったが、地方と生活思想をベースに前衛活動を行うという絵画哲学を叩き込まれたのも九州派からであった。本作品は、1960年「第12回読売アンデパンダン展」に出品され、美術雑誌『みづゑ』(同年4月号)にカラー見開きで掲載された。鍵穴のような形の赤い物体は陶製で人の形をしており、黒い部分はアスファルトだ。題名と無数の人の形から、九州に点在する古墳をモチーフとしたのではないかと推察されるも、人形の表情は明るく無邪気で、子供たちが集まって祭りに参加しているようでもある。斬新な造形の中に、九州の土地に直結する古代の記憶を刻み込んだ作品、という解釈も成り立ちそうだ。

第4章 転用されるイメージ

1960 年代に入ると、ポップ・アートの登場により、コカ・コーラや星条旗など、
資本主義社会にあふれるイメージが美術作品に転用されるようになる。
モダンアートが重視してきた芸術家の独創性と主体性が揺らぎ始める。

アルマン アンディ・ウォーホル 赤瀬川原平 風倉匠 菊畑茂久馬 篠原有司男

ロイ・リキテンシュタイン タイガー立石 中村宏 ロバート・ラウシェンバーグ 草間彌生 柳幸典

©2018 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Licensed by ARS, New York & JASPAR, C2147

アンディ・ウォーホル 《エルヴィス》 1963年

大衆的な商品や有名人のイメージをシルクスクリーンによって拡大転写するアンディ・ウォーホルの代表的な手法を用いたこの作品は、エルヴィス・プレスリーの主演映画『燃える平原児』の広報用スチル写真が基になっている。銀色をベースに浮かび上がる連続するイメージは映画的な効果を思わせもするが、インクのかすれやムラのある背景色によって、消失しかけた空虚な印象を与える。テレビや映画を通して大衆が知るプレスリーは複製された儚いイメージに過ぎず、消費されることが有名であるという資本主義社会の側面を、ウォーホルはシニカルに、鮮やかに提示してみせた。

第5章 イメージの消失

絵画が抽象へと向かい、イメージが消失したとき、絵画は限りなく事物に近づく。
やがて絵画や彫刻といった形式すら解体され、物質や事物がそのまま作品として提示される。
美術はひとつの極限的な在り方に達する。

瑛九 マーク・ロスコ ルチオ・フォンタナ フランク・ステラ 原口典之

桑山忠明 榎倉康二 山崎直秀 クロード・ヴィアラ ルイ・カーヌ

©1998 Kate Rothko Prizel & Christopher Rothko / ARS, New York / JASPAR, Tokyo C2147

マーク・ロスコ 《無題》 1961年

初期にはシュルレアリスム 的絵画を手がけていたマーク・ロスコは、外界の情景を色のかたまりとして表したものから、次第に外界から離れて、純粋な色面による感情の表象へと作品世界を展開させていった。画布の内側からにじみ出たように見える縁のぼやけた赤紫と白の矩形の簡明な色と形が、見る者を深い観想へと導く。色の境界は曖昧で、視点を合わせる対象を欠くその画面は、しばしば、瞑想的空間と評されてきた。自らの精神の住まう超越的な新しい世界は、ヨーロッパ美術の影響を脱して新しいアメリカの絵画を創出しようとした抽象表現主義の画家たちに共有された時代精神でもあった。

第6章 再来するイメージ

1980 年代に入ると、絵画や彫刻といった形式が復活。
モダンアートが重視した純粋性や1970 年代に見られた極限性から離れて、
豊穣なイメージをまとった作品が生み出された。新しい時代が幕を開ける。

ジャン=ミシェル・バスキア ジグマール・ポルケ リサ・ミルロイ

大竹伸朗 やなぎみわ 辰野登恵子 横尾忠則 金村修

横尾忠則《暗夜光路 旅の夜》 2001年

夜のY字路を描いた作品。2000年から始まった〈Y字路〉シリーズは、2001年から翌年にかけて原美術館で開催された展覧会「暗夜行路」に出品された。このシリーズは、作者の故郷の兵庫県西脇市で自らが撮影した1枚の写真から始まり、その後、さまざまな町に材料が求められるようになる。いずれも作家自身が訪れ、暗闇の中でフラッシュを焚いて撮影された場所である。本作は富山の光景であるが、左右の街並みは別の場所で撮られたものが合成されている。どこかにありそうで、現実にはない風景を前に、観る者は懐かしさと不安といった相反する不思議な感覚にとらわれる。

関連プログラム

講演会「コレクションはどのようにつくられたのか 福岡市美術館の場合」
2018年6月2日(土) 14:00 – 15:30

講師:
尾野正晴(静岡文化芸術大学名誉教授、元福岡市美術館学芸員)
会場:
地下1階ミュージアムスタジオ

*申込不要、要展覧会チケット(半券可)

尾野正晴(おの・まさはる)

1948年兵庫県生まれ。静岡文化芸術大学名誉教授。西宮市大谷記念美術館、福岡市美術館、滋賀県立近代美術館、国立国際美術館で学芸員として勤務。2000年から静岡文化芸術大学文化政策学部教授、2006年から3年間滋賀県立近代美術館館長を兼任。2014年に退官。主な展覧会に「20世紀彫刻の展望」(1984年、滋賀県立近代美術館)、「モーリス・ルイス」(1986年、滋賀県立近代美術館)、「絵画1977-1987」(1987年、国立国際美術館)、「ミニマル・アート」(1990年、国立国際美術館)など。著書に『絵画頌』(アキライケダギャラリー、 1988年)、『躍動する現代美術』(小学館、1992年)がある。

スペシャル・ギャラリートーク
2018年7月15日(日) 14:00 – 15:30

本展企画者が展覧会について解説します。展示室入口にお集まりください。

講師:
尾崎信一郎(鳥取県立博物館副館長、本展企画者)

*申込不要、要展覧会チケット

尾崎信一郎(おさき・しんいちろう)

1962年鳥取県生まれ。鳥取県立博物館副館長。兵庫県立近代美術館、国立国際美術館、京都国立近代美術館を経て2006年より現職。主な展覧会に「重力―戦後美術の座標軸」(1997年、国立国際美術館)、「アウト・オブ・アクション」(1998年、ロサンジェルス現代美術館ほか ポール・シンメルらと共同企画)、「痕跡―戦後美術における身体と思考」 (2004年、京都国立近代美術館)、「中ハシ克シゲ展―連鎖する記憶」(2007年、鳥取県立博物館)、「日本におけるキュビスム」(2016-2017年、鳥取県立博物館ほか)など。著書に『絵画論を超えて』(東信堂、1999年)、共著に『美術批評と戦後美術』(ブリュッケ、2007年)がある。

当館担当学芸員によるギャラリートーク
2018年7月28日(土)、8月11日(土・祝) いずれも14:00 – 15:00

担当学芸員が展覧会について解説します。展示室入口にお集まりください。

*申込不要、要展覧会チケット

アートナビ・ツアー
毎週土曜、日曜、祝日 各日11:00 – 11:30 および 14:00 – 14:30(講演会、ギャラリートーク開催時は除く)

アートナビゲーターが展覧会について解説します。展示室入口にお集まりください。

*申込不要、要展覧会チケット

展覧会カタログ

価格:
2,000円(税込)
頁数:
148頁
判型:
B5
デザイン:
宗利淳一
印刷:
株式会社博進堂
発行:
鳥取県立博物館/埼玉県立近代美術館/広島市現代美術館/横須賀美術館/美術館連絡協議会

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|目次|

  • 作家インデックス
  • モダンアート再訪 尾崎信一郎(鳥取県立博物館副館長兼美術振興課長)
  • 福岡市美術館のコレクション形成―(元々)相対化されていた「モダンアート」 山口洋三(福岡市美術館学芸員)

  • 第1章 夢の中のからだ
  • 第2章 不穏な身体
  • 第3章 身体と物質―九州派・具体・アンフォルメル
  • 第4章 転用されるイメージ―ポップ・アートとその周辺
  • 第5章 イメージの消失―抽象と事物
  • 第6章 再来するイメージ

  • ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いていたジョアン・ミロ 1940-1945 吉岡知子(埼玉県立近代美術館学芸員)
  • 核の時代の美術 ダリ、イヴ・クラインそして工藤哲巳について 洲濱元子(広島市現代美術館学芸員)
  • 前衛美術と女性作家 冨田康子(横須賀美術館学芸員)
  • 「基盤」からはじめる―榎倉康二と原口典之の試みについて 赤井あずみ(鳥取県立博物館学芸員)
  • 作家解説
  • 出品作品リスト
  • 用語解説
  • 福岡市美術館について
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