ビデオアートプログラムA第58回:マット・ロウ


上映作品について

《バッド・オーメン》(悪い予兆)は、タイトルが示すとおり終始不穏な空気に包まれています。登場人物が身につける、細長い帯の密集する衣装は、彼の作品にしばしば用いられてきました。これらはギリースーツと呼ばれる、猟師や狙撃手が身を隠すために着用する衣服をもとにしています。本来は植物を模した帯が、彼の作品中では色とりどりのテープやリボンに置き換えられ、本作品ではホラー映画のビデオテープが用いられています。
《バッド・オーメン》は一見コミカルで、もっぱらチープさを意図したパロディに見えますが、突如突きつけられる一瞬の戦慄は、ちぐはぐな演出との落差によって、いっそう印象深いものとなっています。
近年はワークショップ・プロジェクトを通して、各地域の文化資源の再発見を試みており、《アーキペラゴ・ギリー》(群島のギリー)もまた、こうした活動の延長線上にあり、土着的なものや、日常生活に潜む事象に向けられた彼の洞察を見て取ることができます。

マット・ロウ

1981年、イギリス、ウェイクフィールド生まれ、フォークストン在住。2002年、バッキンガムシャー・チルターンズ・ユニバーシティ・カレッジにて、陶芸およびガラスデザイン専攻卒業、優等学位取得。2004年、ウェールズ大学インスティテュート、カーディフにて陶芸専攻、修士号取得。主な個展に、2010年「Matt Rowe – textiler/ceramicist/sculptor」B&Bプロジェクト・スペース(フォークストン、イギリス)、グループ展に、2012年「Make! Believe! Make!」 ポーツマス美術館Aspexギャラリー(イギリス)、「59.14 N 3.34 W」オークニー諸島バーゼイ(イギリス)などがある。

上映作品

《バッド・オーメン》2011年、カラー、サウンド、3’58”
《アーキペラゴ・ギリー》2016年、カラー、サウンド、1’32”

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