ビデオアートプログラムA第35回:グエン・チン・ティ


上映作品について

グエン・チン・ティは、ベトナム長編映画スタジオが製作した戦争歴史映画を再編することで、ほとんど知られていないベトナムのモノクロ古典映画を、社会主義リアリズムドラマの甘美でロマンティックな要素を解体する小品へと作りかえます。1973年製作の『前線への歌』は、労働者階級による闘争称賛の意が込められた、愛国心を鼓舞するプロパガンダ映画です。この映画の登場人物である、戦争の最前線で自国と共産主義運動のために自ら進んで犠牲となった世代を象徴する若い兵士や負傷した兵士の世話をする看護婦のクローズアップ、星空や空を舞う鳥の群れなど脈絡のない場面を、ストラヴィンスキー作曲による「春の祭典」のメロディーにのせてつなぎ合わせることで、チン・ティはこの古典映画のストーリーを故意に不明瞭にし、鑑賞者に想像の余地を残しながら、イデオロギー的な見解を強いる映画の再解釈を促します。

ゲスト・キュレーター:ゾーイ・バット[サン・アート、エグゼクティブ・ディレクター/ホーチミン]

グエン・チン・ティ

1973年、ベトナム、ハノイ生まれ、同地在住。アイオワ大学でジャーナリズムを、カリフォルニア大学サンディエゴ校で環太平洋国際関係を専攻。アメリカ在住時にはジャーナリストとして活動したが、2005年以降は、ドキュメンタリー映画とビデオ・アートの制作に専念する。2009年、ドキュメンタリー映画やビデオ・アートといった映像製作のための教育機関として「ハノイ・ドックラボ」を設立する。
nguyentrinhthi.wordpress.com/

上映作品

《前線への歌(ベトナム古典映画再編シリーズ)》2011、シングルチャンネル、SDビデオ、モノクロ、ステレオ、5’14”

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