ビデオアートプログラムA第33回:クワン・シャンチ

上映作品《ONE MILLION》について

《ONE MILLION》はそのタイトル通り、紙幣を100万分数える映像です。順番に流れる3つの映像には、それぞれ1万円札(日本円)、1千ドル札(香港ドル)、1千元札(台湾元)が登場し、100枚、または1000枚という膨大な枚数の紙幣を、乱れることなく数える様子が映し出されます。しかし、この映像はよく見れば、同じ指の動きをリピートしてつなげることで、沢山の紙幣を数えているように見せかけているだけだということがわかります。実際には、ほんの数枚の紙幣しか使われていません。
経済活動に留まらず、インターネットや各種メディアの発展により、あらゆる情報がデータとして飛び交う現代では、「あるように見えること」と「実物としてあること」の境目がどんどんと曖昧になっています。しかしそれは同時に、一度システムが壊れれば、すべて「ないこと」となる危険性もはらんでいます。利便性や合理性を追求する裏で、不安定さを抱える社会の現状を《ONE MILLION》はシンプルな映像で私たちに問いかけています。

クワン・シャンチ

1980年、香港に生まれる。2003年香港中文大学卒業。香港在住。大学在学中の2002年に、香港内の美術館など10箇所の会場を巡回する個展を開催し、話題となる。映像、立体、インスタレーションなど、様々な表現手法を用いて作品を発表している。主な個展に2012年「Collected Works」ユカ・ツルノ(東京)、2011年 Art Taipei 2011「New Media Section」台北世界貿易センター(台北、台湾)、2009年 「No matter. Try again. Fail again.」ギャラリー・エグジット(香港)など。主なグループ展に2012年 「Mobile M+: Yau Ma Tei」ヤウマテイ(香港)、2010年 第5回イスラエル国際映像ビエンナーレ「Videozone V」テル・アビブ現代美術センター(イスラエル)などがある。

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