特別展交わるいと 「あいだ」をひらく術として
2017年12月22日(金)〜2018年3月4日(日)
織物の大半は空気でできています。織物の質量のうち繊維が占める割合は通常20〜50%に過ぎず、繊維を撚って糸を紡ぐにも、糸と糸を交わらせて布を織るにも、そこには必ずすき間ができます。そのすき間、空間があるからこそ、布は薄く軽やかで、伸び縮みして丈夫で、あたたかくあることができるのです。糸と糸がどのように交わって、どのような形のすき間をつくるのかによって、布の布たる所以が生まれ、その性質や表情もできあがっていきます。
この展覧会では、糸や布、繊維を素材に制作を続ける15人と1組の作り手たちによる営みを紹介します。伝統工芸から現代美術、デザインまでジャンルはさまざま。それらを貫く導きの糸としたいのが、精神病理学者の第一人者であり臨床哲学の先駆者でもある木村敏の次のような言葉です。「自己とは、自己と他者とのあいだ ―現在の事物的世界とのあいだだけでなく、当面の他者とのあいだ、所属集団とのあいだ、過去や未来の世界とのあいだなども含む― の、そしてなによりも自己と自己とのあいだの関係そのもののことである」(『関係としての自己』みすず書房、2005年)。つまり糸や布と向き合うことで、自己そして人の生のあり方をふかく見つめてみようというわけです。
タイトルの「いと」は素材としての「糸」を意味すると同時に、作り手たちの「意図」でもあります。糸が交わって布が生まれるように、作家たちの意図が交わってこの展覧会ができていきます。さらにみなさんが会場を訪れ(あるいは会場を出て、まちを散策し)、思い思いに交わりながら「あいだ」の関係を幾重にも紡いでみてください。
出品作家(50音順、敬称略)
上原美智子、上前智祐、呉夏枝、加賀城健、北村武資、熊井恭子、鈴田滋人、須藤玲子、関島寿子、
髙木秋子、ヌイ・プロジェクト、平野薫、福本繁樹、福本潮子、堀内紀子、宮田彩加
「交わるいと 「あいだ」をひらく術として」特設ウェブサイト 展覧会チラシ(PDF:1.63MB)
基本事項
会期 | 2017年12月22日(金)~2018年3月4日(日) |
---|---|
開館時間 | 10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日(ただし1月8日、2月12日は開館)、1月9日(火)、2月13日(火) 年末年始(12月27日(水)~1月1日(月・祝)) |
観覧料 | 一般1,030(820)円、大学生720(620)円、 高校生・65歳以上510(410)円、中学生以下無料 ※( )内は前売り及び30名以上の団体料金 前売り券の取り扱い場所一覧 |
主催 | 広島市現代美術館、中国新聞社 |
後援 | 広島県、広島市教育員会、広島エフエム放送、尾道エフエム放送 |
関連プログラム
2017年12月22日(金)10:30~
出品作家によるリレー・トーク
出品作家が展覧会場にて自身の活動や今回の作品について語ります。
参加作家:上原美智子、平野薫、関島寿子、熊井恭子、ヌイ・プロジェクト(福森順子副施設長)、
鈴田滋人、呉夏枝、宮田彩加、加賀城健、福本繁樹、福本潮子(予定) ※要展覧会チケット、申込不要
2018年1月20日(土)13:00~17:00
ワークショップ1「ほどいて、ひらいて」
小さな布や古着を解いて、みんなでいっしょに大きく開いていくワークショップです。
できた作品は美術館に展示されます。
講師:平野薫(本展出品作家)
定員:20名
対象:小学3年生以上(ただし小学生は保護者同伴)
※要事前申込、応募多数の場合は抽選
下記応募フォームまたは往復はがきにてお申込みください。往復はがきには、①参加したいワークショップの名前、②参加希望者の氏名(1通につき2名まで)、③年齢、④住所、⑤電話番号を明記の上、お申込みください。
往復はがき宛先:
〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1 広島市現代美術館「交わるいとワークショップ」係
締切:1月9日(火)必着 ※受付終了しました
2018年1月27日(土)、28日(日)各日13:00~17:00
ワークショップ2「ほどいて、あみなおす」
かご、セーター、網などをすこし解いて、自分の考えと素材を加えてあたらしいかたちに「あみなおす」ワークショップです。
講師:関島寿子(本展出品作家)
定員:20名
対象:16歳以上で、2日間とも参加可能な方
※要事前申込、応募多数の場合は抽選
下記応募フォームまたは往復はがきにてお申込みください。往復はがきには、①参加したいワークショップの名前、②参加希望者の氏名(1通につき2名まで)、③年齢、④住所、⑤電話番号を明記の上、お申込みください。
往復はがき宛先:
〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1 広島市現代美術館「交わるいとワークショップ」係
締切:1月9日(火)必着 ※受付終了しました
2018年2月12日(月・振休)14:00~16:00
映画「幸福は日々の中に。」上映会+アフタートーク
nui projectを発信する知的障害者施設しょうぶ学園。そこに流れる日常を描きだしたドキュメンタリー映画「幸福は日々の中に。」を上映します。上映後はしょうぶ学園の施設長をお迎えし、アフタートークを開催します。
トークゲスト:福森伸(しょうぶ学園施設長)、[聞き役]津口在五(鞆の津ミュージアム学芸員)
会場:地下1階ミュージアムスタジオ
定員:120名
※要展覧会チケット(半券可) ※当日10:00より受付にて整理券を配布いたします。
2017年12月23日(土・祝)、2018年1月2日(火)、1月21日(日)、2月18日(日)
14:00~15:00
学芸員によるギャラリー・トーク
本展担当学芸員が展覧会の趣旨や展示の意図、作品の見方などについて解説します。
※要展覧会チケット、申込不要
毎週土曜日、日曜日、祝日
11:00~11:30および14:00~14:30(学芸員によるギャラリー・トーク開催時は除く)
アートナビ・ツアー
当館アートナビゲーターが展覧会の見どころや作品の魅力についてお話しします。
※要展覧会チケット、申込不要
モカパス会員は上記関連プログラムの優先参加が可能です。申込方法等詳細はこちらをご覧ください。
【申込締切日】
■ワークショップ1「ほどいて、ひらいて」/2017年12月31日(日)
■ワークショップ2「ほどいて、あみなおす」/2017年12月31日(日)
■映画「幸福は日々の中に。」上映会+アフタートーク/2018年2月2日(金)
オープンリサーチ・プロジェクト
糸や布の魅力をひろく知り、「あいだ」についてふかく考えるためのプロジェクトを美術館の内外で展開します。
小森はるか+瀬尾夏美「波のした、土のうえ」巡回展
映像作家の小森はるかさんと、画家であり著作家でもある瀬尾夏美さんは、東日本大震災を契機に陸前高田市に移り住み、現在は仙台市に拠点を置いて活動を行っています。地元住民と協働してつくった映像作品と、土地を歩き続けて紡ぎ出した絵や文章などの平面作品とで構成された展示です。「波」と「土」の間で起こった出来事を、記録と表現のあいだにつないでいこうとするこの巡回展は、たくさんのことを気づかせ、考えさせてくれます。
komori-seo.main.jp
会期:2017年12月12日(火)~2018年2月4日(日)
会場:地下1階ミュージアムスタジオ
観覧無料
<関連プログラム>
2018年1月14日(日)13:00~16:30
てつがくカフェ 『二重のまち』から考える
瀬尾夏美さんが書いた『二重のまち』をもとに参加者同士で対話する、てつがくカフェを開きます。
ファシリテーター:西村高宏(福井大学 医学部 准教授)、近田真美子(福井医療大学 看護学科 准教授)
会場:地下1階ミュージアムスタジオ
※1月14日(日)はイベント開催のため、映像作品「波のした、土のうえ」(68分) の上映をお休みします。
4つのギャラリーによる企画展示
1|横川創苑
広島市西区横川町3-11-12 souensouso.com
「是恒さくら:story whaling」 12/22-1/11
2|cite’
広島市中区幟町 9-1-1F www.cite.jp
「COSMIC WONDER:竜宮衣 原始ノ布から」展 12/22-1/7
tentenhouse「fil —— 森から」 2/15-2/26
3|オリエンタルデザインギャラリー
広島市中区田中町6-10-1F www.oriental-hiroshima.com/gallery/
「Our Inspirations for SPOLOGUM スポロガム展」 1/18-1/31
4|84|はちよん
広島市中区幟町7-10 84-hachiyon.com
「pot and tea: waltz of the flowers」 2/15-2/17
「pot and tea: 2018 haru natsu 展示会」 2/22-2/27
ムッシムパネンのオリジナルケーキ
「交わるいと」オリジナルケーキが“pursuit of happiness”をテーマにできあがります。糸や布の魅力を味覚でも楽しんでみてください。会期中、ムッシムパネン店舗(広島市中区銀山町1-16)でどうぞ。
市内2館との観覧料相互割引企画について
・広島県立美術館 hpam.jp
「ブータン しあわせに生きるためのヒント」(2017年11月2日(木)~12月24日(日))
「くもんの子ども浮世絵コレクション 遊べる浮世絵展 江戸の子ども絵・おもちゃ絵大集合!」
(2018年1月5日(金)~2月12日(月) )
「第64回日本伝統工芸展」(2018年2月23日(金)~3月11日(日))
・ひろしま美術館 hiroshima-museum.jp
「ヴラマンク展 ―絵画と言葉で紡ぐ人生―」(2017年11月3日(金・祝)~12月24日(日))
「平木コレクション 生誕220年 歌川広重の世界展」(2018年1月3日(水)~2月12日(月・振休))
「ミュシャ展 ~運命の女たち~」(2018年2月24日(土)~4月8日(日))
上記展覧会のチケット半券提示で、本展観覧料が100円割引になります。
また、本展チケット半券を提示すれば、上記展覧会が100円割引になります。
※1枚につき1名様限り有効です。
※所蔵作品展(コレクション展)は対象外です。
※割引の併用はできません。
高橋コレクション photo: Felix Weinold, tim|State Textile and Industry Museum Augsburg
作家蔵 撮影:桜井ただひさ
2003 作家蔵