作品解説

学徒兵として出征し、復員後は美術史と油彩画を学んだ作者は、ヨーロッパ滞在中に彫刻の道に進みその地歩を確立しました。言葉を通してものを見るという、人間の認識行為と言葉との関係性に意識的であった作者は、1972年、詩人・西脇順三郎との詩画集の共同制作を機に26文字のアルファベットそれぞれに特定の色を割り振る手法を開発しました。彫刻作品においては作品にまつわる言葉（かたちや素材の名称、テーマなど）、あるいはその言葉どうしの関係性が作者独自の視点とルールによってアルファベットに置き換えられ、着色ロープによって示されます。広島の上空に走った閃光とともに人類の歴史に生じた「ねじれ」。本作はその「ねじれ」を表現したものだと作者は語っています。