開催中

コレクション展
コレクション展2025-Ⅱ

2025年9月6日(土) — 2026年2月1日(日)

モナ・ハトゥム《ノーウェイ(日本のスプーン)》2011
© Mona Hatoum. Photo © White Cube (George Darrell)

本展では「日常」をテーマとし、当館コレクションの特質に親しんでいただけるよう、部屋ごとに異なる切り口のもとに多彩な作品をご紹介します。本展では、身近な人々や風景を捉える作品、また身の回りの素材やモチーフを取り込む作家の手つきに着目することで、私たちの日々の営みを取り巻く社会や歴史の構造にまで探究の目を広げます。
4つある部屋では、「日常の再発見」「生と死の狭間」「広島/ヒロシマ」「非常のあらわれ」というキーワードを設定し、選りすぐりの作品とともに、現代における「日常」の諸相を複数の視点で探ります。また本展は、展示内容をコレクションに限定せず、当館の収集方針や収集作品、広島という地域性をふまえた特別出品をまじえて構成されます。加えて、第10回ヒロシマ賞受賞作家であるモナ・ハトゥムの作品など、近年の新規収蔵品もあわせてご紹介します。
※会期中に展示替えあり

作品リスト

◯日常の再発見

身近な人々やとりとめのない風景、日々の暮らしの中で目にするものごとを選びとるアーティストの作品は、普段わたしたちがなにげないものとして認識している「日常」の見え方や捉え方を変えることがあります。例えば、家族と過ごす穏やかな光景を捉えた秦如美の作品からは、親密な誰かに対する独自のまなざしを読み取ることができるでしょう。渡米後のつましい生活下、街中で拾った廃材等を制作に用いた篠原有司男の作品には、身の回りで手に入る素材を美術作品に取り入れる作家の手つきが生き生きとあらわれています。本展の第一室目では、 身近な人々や風景を主題とする作品や、身の回りにある素材やモチーフを取り入れる手法に着目し、「日常」を新たな視点で見つめ直します。
  
出品作家(※展示予定順)
マーティン・クリード、クルト・シュヴィッタース、田中功起、篠原有司男、秦如美、デニス・オッペンハイム、三瓶玲奈、日高理恵子、アレックス・カッツ
◯生と死の狭間

本セクションにおいて作品が展示されている吉仲太造はかつて、「生と死の狭間に“病”というのがある。現在のような高度の文明社会では、いったいどこからどこまでが健康なのかはっきりと分けられない」*と述べました。そして彼はうつ病を発病し体調を崩す中、「病と偽薬」をキーワードに制作活動を行います。今日のようなめまぐるしく変化する社会においても、心身に不調をきたしながらもなお続く日々の営みの中で、たとえ有効成分を欠いたものであってもなんとか状況と折り合いをつけるための手立てを要するときがあるかもしれません。
本セクションで紹介する作品に見られる身近な日用品、また作品が映し出す日々の素朴な行為や人間の姿かたちは、とりとめのない日々の根底にある生のあり方をわたしたちに意識させます。また、そういった生の営みを時として規定する社会構造にまで目を向けさせるような作品をあわせてご覧いただきます。
*『美術手帖』1975年8月号、美術出版社、303ページ。
  
出品作家(※展示予定順)
小林考亘、出光真子、草間彌生、ドゥエイン・ハンソン、横尾忠則、吉仲太造、石内都、アルマン、諫山元貴(特別出品含む)
◯広島/ヒロシマ

広島は、被爆地としての特質を意識して語られる際、しばしばカタカナで「ヒロシマ」と表記されます。当館の収集方針のひとつに「『ヒロシマ』と現代美術の関連を示す作品」があり、「ヒロシマ」をテーマとした制作委託による収集も行ってきました。
このセクションでは、広島/ヒロシマという地域性に関連付けながら生み出された作品を中心に紹介します。
  
出品作家(※展示予定順)
エンツォ・クッキ、アンソニー・グリーン、鈴木健之、北山善夫、河鍾賢、大岩オスカール、村上友重、モンティエン・ブンマー、立石大河亞、蔡國強
◯非常のあらわれ

戦争や災害、パンデミックは、「日常」がそれまでとは全く異なる様相を帯びるきっかけとなります。本セクションでは、そのような「非常」が日常の光景やモチーフの中に立ち現れている作品を紹介します。例えば、高嶺格の《God Bless America》では、アメリカにおいて同時多発テロが起きた際にしばしば歌われた、同名曲を歌う頭部を粘土でつくる男女の様子が、彼らの日常生活を含めて映し出されています。下道基行による《戦争のかたち》は、本来とは別のかたちで現在の風景の中に溶け込む戦争遺構のすがたを提示します。また、天照大御神が岩の洞窟に隠れたことで世界が暗闇に包まれた、という日本の神話をモチーフにした横尾忠則や、テレビ番組の形式を借りて人類の「進歩」をシニカルに説くマックス・アルミィの映像など、「非常」の射程を神話や人類史にまで広げてみます。
  
出品作家(※展示予定順)
郭徳俊、高嶺格(特別出品)、マックス・アルミィ、横尾忠則、荒木高子、下道基行、モナ・ハトゥム

日高理恵子《空との距離Ⅰ》2002

諫山元貴《screen》2017 ©︎ Genki ISAYAMA

荒木高子《原爆の聖書》1984

下道基行《戦争のかたち》より〈農業倉庫〉2001-2005/2012

モナ・ハトゥム《ノーウェイⅣ》2013 © Mona Hatoum. Courtesy of Alexander and Bonin, New York (Photo: Joerg Lohse)

基本情報

会期
2025年9月6日(土) — 2026年2月1日(日)
開館時間
10:00–17:00

※入場は閉館の30分前まで

会場
広島市現代美術館 A展示室
アクセス
休館日
月曜日(ただし9/15、10/13、11/3、11/24、1/12は開館)、9/16(火)10/14(火)、11/4(火)、11/25(火)、年末年始(12/27-1/1)、1/13(火)
観覧料
一般350(250)円、大学生250(150)円、高校生・65歳以上150(100)円、中学生以下無料

※( )内は30名以上の団体料金
※原爆障害者章、身体障害者手帳ほかをお持ちの方と、その介添者は無料( 詳細はこちら
割引
【ハロー!コレクションデー】
毎月第3日曜日:コレクション展無料 【文化の日】
11月3日:全館無料

イベント・カレンダー

開館時間10:00-17:00
TEL082-264-1121