作品解説

西洋絵画を学んだ韓国出身の作者は、戦後の物資不足が深刻だった1960-70年代、アンフォルメルなど欧米の美術の影響を受けながら、新聞や有刺鉄線、廃材を用いて制作を行っていました。やがて彼の関心は物質そのものへと向かい、74年から「接合」シリーズの制作を開始しました。粗い麻布の裏面に絵具を押し付けることで、織り目を通って押し出された絵具が独特の画肌となって画面に現れます。モノクロームで描かれたこのシリーズによって、1970年代に韓国で隆興した「単色画」を代表する画家の一人となりました。本作について、作者は原爆投下により「死ノ大地」になった広島の大地に着想を得て制作したと述べています。