第12回ヒロシマ賞受賞者決定
ヒロシマ賞は、美術の分野で人類の平和に貢献した作家の業績を顕彰し、核兵器廃絶と世界恒久平和を願う「ヒロシマの心」を、美術を通して広く世界へとアピールすることを目的として、広島市が1989 年に創設したものです。3 年に1 回授与されるこの賞は過去11 組のアーティストが受賞しており、今回、第12 回目のヒロシマ賞受賞者にメル・チン(1951 年生まれ、アメリカ出身)が決定しました。
2026 年夏(予定) には第12 回ヒロシマ賞の授賞式を行い、あわせて当館においてメル・チンのヒロシマ賞受賞記念展を開催します。
メル・チン Mel Chin
Photo: Miriam Heads
メル・チンについて
1951年生まれ、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン出身、ノースカロライナ州エジプト・タウンシップ在住。環境問題をはじめとする複雑な社会問題に動機づけられたアイデアを、カテゴリーにとらわれないユニークな方法によって表現。彫刻、ドローイング、絵画、ビデオ、アニメーション、ビデオゲームから大規模な公共インスタレーションまで、その幅広い作品群は、多様なバックグランドを持つ人々をひきつけ、社会への関心を培ってきました。また、地域住民との共同作業や科学的なアプローチによって、長期にわたるプロジェクトを展開し、アートがいかにして社会的な意識と責任を喚起しうるかを探求してきました。これまでの半世紀近くにわたるキャリアの中で、光州ビエンナーレやリヨン・ビエンナーレなどの国際美術展に参加し、また全米各地の美術館で個展を開催するなど第一線で活躍してきました。2014 年にはニューオリンズ美術館で、2018 年にニューヨークのクイーンズ美術館で大規模な回顧展が開催されました。
この栄誉は言葉では言い尽くせません。私が、人為的気候変動による破壊に見舞われた地で暮らし、絶望の中にある無辜の民に対し残忍な爆撃が継続する現状を遠くから目撃し続けている中での受賞でした。米国市民である私は、紛れもない共犯行為を余儀なくされています。ヒロシマ賞は、この弁解の余地なき残虐行為を支持せず、加担に抗う決意を強固なものとしてくれます。さらに、複雑なアイデアや関係性を発展させ、暴力への抵抗と共感の輪の拡大に通じる理想を追求する手段とすべく全力を尽くすよう私を促してくれます。
2024年10月
ノースカロライナ州エジプト・タウンシップ
メル・チン
第11回ヒロシマ賞受賞者
ヒロシマ賞は、美術の分野で人類の平和に貢献した作家の業績を顕彰し、世界の恒久平和を希求する「ヒロシマの心」を現代美術を通して広く世界へとアピールすることを目的として、広島市が1989年に創設したものです。3年に1回授与されるこの賞は過去10組のアーティストが受賞しており、2018年には、第11回目の受賞者にアルフレド・ジャー(1956年生まれ、チリ・サンティアゴ出身、ニューヨーク在住)が選ばれました。
2020年に予定されていた第11回ヒロシマ賞の授賞式と受賞記念展は、コロナ禍により延期となり、美術館のリニューアルオープンを経て、2023夏に開催されました。
アルフレド・ジャー Photo by Jee Eun Esther Jang
アルフレド・ジャーについて
1956 年生まれ、チリ・サンティアゴ出身、ニューヨーク在住。アルフレド・ジャーは、世界各地で起きた歴史的な事件や悲劇、社会的な不均衡に対して、綿密な調査と取材にもとづくジャーナリスティックな視点をもって対峙。公共の場での作品の提示や、写真、映像そして建築的な空間造形を伴った五感に訴えかけるような美しいインスタレーションによって、社会的、政治的、人道的な問題を人々に伝えてきた作家です。
これまでの40年近くにわたる作家活動においては、ヴェネチア・ビエンナーレやサンパウロ・ビエンナーレ、ドクメンタなど数々の国際美術展に参加し、また世界各地の美術館で個展を開催するなど国際的に活躍してきました。
第11回ヒロシマ賞を授与していただくことになりとても光栄に思います。
大変名誉なことだと感じると同時に、受賞者としての責任を重く受け止めています。
この暗い時代においては、「ヒロシマの心」が今まで以上に必要とされています。
栗原定子がその崇高な詩「生ましめんかな」の中で示唆したように、
私は「生ましめる」努力をしなければならず、また実際努力していくつもりです。
アルフレド・ジャー
ヒロシマ賞について
主旨
美術の分野で人類の平和にもっとも貢献した作家の業績を顕彰することを通じて、広島市の芸術活動の高揚を図るとともに、「ヒロシマの心」を広く全世界にアピールし、人類の繁栄に寄与する。
あわせて、この賞を受賞した作家の展覧会を開催して芸術の発展に寄与し、ヒロシマ賞の意義を高める。
過去の受賞者
- 第1回(1989年決定)三宅一生/デザイン
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第2回(1992年決定)ロバート・ラウシェンバーグ/美術
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第3回(1995年決定)レオン・ゴラブ&ナンシー・スペロ/美術
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第4回(1998年決定)クシュシトフ・ウディチコ/美術
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第5回(2001年決定)ダニエル・リベスキンド/建築
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第6回(2004年決定)シリン・ネシャット/美術
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第7回(2007年決定)蔡國強/美術
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第8回(2010年決定)オノ・ヨーコ/美術
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第9回(2013年決定)ドリス・サルセド/美術
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第10 回(2015 年決定)モナ・ハトゥム/美術
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第11 回(2018 年決定)アルフレド・ジャー/美術
選考の基準
- 美術の分野(平面、立体、映像、デザイン、建築等)で評価の高い活動を行っている個人あるいはグループ。
- ヒロシマの心にふさわしい制作活動を行っている個人あるいはグループ。
- 美術館で単独の展覧会を開催する意義がある個人あるいはグループ。
- 国籍、年齢は問わない。
選定方法
世界各地の美術館長、美術評論家等で構成する「推薦委員」と、過去の受賞者からなる「特別推薦委員」から推薦された作家等をとりまとめ、国内の美術館長、美術評論家等で構成する「選考委員会」で絞り込みを行い、その結果をもとに、有識者、美術専門家等で構成する「選考審議会」で、受賞候補者を決定する。
◎広島市ヒロシマ賞受賞者選考審議会委員
池田晃治(広島商工会議所会頭、ひろしま美術館館長)
逢坂恵理子(国立新美術館館長)
島敦彦(国立国際美術館館長)
千足伸行(広島県立美術館館長)
建畠晢(埼玉県立近代美術館館長)
寺口淳治(広島市現代美術館館長)
福永治(京都国立近代美術館館長)
松井一實(広島市長)
三浦篤(大原美術館館長)
吉田幸弘(公立大学法人広島市立大学芸術学部長)
ラワンチャイクン寿子(福岡市美術館学芸係長)
※ 2024 年11 月現在(五十音順・敬称略)
◎第12回ヒロシマ賞選考委員会委員
五十嵐太郎(東北大学大学院工学研究科教授)
植松由佳(国立国際美術館学芸課長)
大西若人(朝日新聞社編集委員)
尾﨑信一郎(鳥取県立美術館館長)
加須屋明子(京都市立芸術大学美術学部教授)
丹羽晴美(東京都写真美術館事業企画課長)
野中明(広島市現代美術館副館長)
保坂 健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
水沢勉(美術評論家、
美術史家)
※ 2024 年11 月現在(五十音順・敬称略)