ヒロシマ賞

 

第10回ヒロシマ賞受賞者決定について

第10回ヒロシマ賞受賞者がモナ・ハトゥムに決定しました

ヒロシマ賞は、現代美術の分野で人類の平和に貢献した作家の業績を顕彰し、世界の恒久平和を希求する「ヒロシマの心」を現代美術を通して広く世界へとアピールすることを目的として、広島市が1989年に創設したものです。3年に1回授与されるこの賞は過去9組のアーティストが受賞しており、今回、第10回目のヒロシマ賞受賞者にモナ・ハトゥム(1952年生まれ、レバノン出身、ロンドン及びベルリン在住)が決定しました。
2017年夏(予定)には第10回ヒロシマ賞の授賞式を行い、あわせて当館においてモナ・ハトゥムのヒロシマ賞受賞記念展を開催します。

モナ・ハトゥムについて

モナ・ハトゥムは、レバノンそしてイギリスという異境に暮らしてきたパレスチナ人として、二重に追放された自らの境遇に深く根ざした感情や、ジェンダーの問題、さらには今日の世界情勢における政治的な課題を、自伝的なアプローチと、さらにそれを越えた身体的な感覚を通して表現したパフォーマンスや映像、インスタレーションなどで知られている作家です。
1995年にはイギリスのターナー賞の候補となり、その後もヴェネチア・ビエンナーレなどの国際美術展に参加し、また世界各地の美術館で個展を開催するなど国際的に活躍してきました。また、2011年にはスペインのジョアン・ミロ賞を受賞しています。
今年の5月から9月にかけてはパリのポンピドゥー・センターで大規模な回顧展を開催し、来年にはイギリスのテート美術館に巡回する予定です。

受賞決定理由

モナ・ハトゥムは、パレスチナからの亡命という自らの複雑な境遇にもとづき、疎外された人間の苦しみや、政治的な抑圧などの様々な社会的矛盾を、身体的な感覚を呼び起こすような独自の方法で表現するなど、その創作活動はヒロシマ賞の趣旨に相当すると高く評価されたものです。また、受賞作家の作品を展示する記念展では、ヒロシマを普遍的な問題として捉え、正面から向き合いながらヒロシマに深く関わるような新作の展示が期待されることから、今回の受賞となりました。

受賞にあたってのコメント

「ヒロシマの心」に象徴される全人類に対する世界平和という理念に関わることができ、大変光栄であるとともに身のすくむ思いです。
ヒロシマの経験は、人類の歴史において悲しくそして最悪の時を思い起こさせます。しかしながら、壊滅状態からの回復力と復興は、我々人類を鼓舞する希望の心を体現しています。

モナ・ハトゥム

略歴、主な展覧会歴

●略歴
1970-72年   ベイルート・ユニヴァーシティ・カレッジに学ぶ
1975-79年   バイアム・ショー美術学校に学ぶ
1979-81年   スレイド美術学校に学ぶ
1995年        ターナー賞(イギリス)候補
2004年        ロズヴィータ・ハフトマン賞(スイス)受賞
2010年        ケーテ・コルヴィッツ賞(ドイツ)受賞
2011年        ジョアン・ミロ賞(スペイン)受賞

●主な個展
1994年        ポンピドゥー・センター(パリ)
1997年        シカゴ現代美術館
1998年        ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート(ニューヨーク)
1999年        カステロ・デ・リボリ(トリノ、イタリア)
2000年        テート・ブリテン(ロンドン)
2004年        ハンブルグ・クンストハーレ(ドイツ)
2012年        ARTER(イスタンブール)
2015年        ポンピドゥー・センター(パリ)

●主な国際美術展
1991年        ハバナ・ビエンナーレ(キューバ)
1995年        リヨン・ビエンナーレ(フランス)、イスタンブール・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレ
1998年        サンパウロ・ビエンナーレ
2002年        ドクメンタ(カッセル、ドイツ)
2005年        ベネチア・ビエンナーレ
2006年        シドニー・ビエンナーレ
2007年        シャルジャ・ビエンナーレ(UAE)
2012年        リバプール・ビエンナーレ(イギリス)


モナ・ハトゥム
Photo by Jim Rakate ©2006


《ホットスポットⅢ》2009
Photo Agostino Osio
Courtesy Fondazione Querini Stampalia, Venice


(左手前)《デイベッド》2008
(右奥)《衝立》2008
Exhibition view at Kunstmuseum, St. Gallen
Photo Stefan Rohner
Courtesy Kunstmuseum,
St. Gallen


《監房/細胞》2014
Photo Joerg Lohse
Courtesy Alexander and Bonin,
New York


(手前)《底流(赤)》2008
(左奥)《小房/小細胞》2012-13
Exhibition view at Centre Georges Pompidou, Paris
Photo Florian Kleinefenn
Courtesy Galerie Chantal Crousel,
Paris

ヒロシマ賞について

主旨

美術の分野で人類の平和にもっとも貢献した作家の業績を顕彰することを通じて、広島市の芸術活動の高揚を図るとともに、「ヒロシマの心」を広く全世界にアピールし、人類の繁栄に寄与する。
合わせて、この賞を受賞した作家の展覧会を開催して芸術の発展に寄与し、ヒロシマ賞の意義を高める。

過去の受賞者

第1回(1989年決定) 三宅一生/デザイン
第2回(1992年決定) ロバート・ラウシェンバーグ/美術
第3回(1995年決定) レオン・ゴラブ&ナンシー・スペロ/美術
第4回(1998年決定) クシュシトフ・ウディチコ/美術
第5回(2001年決定) ダニエル・リベスキンド/建築
第6回(2004年決定) シリン・ネシャット/美術
第7回(2007年決定) 蔡國強/美術
第8回(2010年決定) オノ・ヨーコ/美術
第9回(2013年決定) ドリス・サルセド/美術

選考の基準

美術の分野(平面、立体、映像、デザイン、建築等)で評価の高い活動を行っている個人あるいはグループ。
ヒロシマの心にふさわしい制作活動を行っている個人あるいはグループ。
美術館で単独の展覧会を開催する意義がある個人あるいはグループ。
国籍、年齢は問わない。

選定方法

世界各地の美術館長、美術評論家等で構成する「推薦委員」と、過去の受賞者からなる「特別推薦委員」から推薦された作家等をとりまとめ、国内の美術館長、美術評論家等で構成する「選考委員会」で絞り込みを行う。
その結果をもとに、有識者、美術専門家等で構成する「広島市ヒロシマ賞受賞者選考審議会」で、受賞候補者を決定する。

◎広島市ヒロシマ賞受賞者選考審議会委員
逢坂恵理子(横浜美術館館長)、 岡部あおみ(美術評論家、元武蔵野美術大学教授)、越智裕二郎(元広島県立美術館館長、西宮市大谷記念美術館館長)、櫻井友行(独立行政法人国際交流基金理事)、高階秀爾(大原美術館館長、公益財団法人西洋美術振興財団代表理事)、南條史生(森美術館館長)、深山英樹(広島商工会議所会頭、広島ガス(株)代表取締役会長)、福永治(広島市現代美術館館長)、部谷京子(映画美術監督)、松井一實(広島市長)、南昌伸(公立大学法人広島市立大学芸術学部学部長)
※2015年9月現在(五十音順・敬称略)


第4回ヒロシマ賞受賞記念
クシュシトフ・ウディチコ展 1999年
関連事業「パブリック・プロジェクション、ヒロシマ」より 


第7回ヒロシマ賞受賞記念
蔡國強展 2008年《無人の花園》 


第8回ヒロシマ賞受賞記念
オノ・ヨーコ展 2011年
《とびら》《ねがい》


第9回ヒロシマ賞受賞記念
ドリス・サルセド展 2014年
《プレガリア・ムーダ》

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