Title
自画像の風景
Artist
殿敷 侃
Year
1975

作品解説

消えたろうそくを手に持つ、作家自身と思しき人物。周りには焦土と化した街並みやケロイドを負った人、キノコ雲が沸き上がる箱など、原爆にまつわるモチーフが配され、不穏で幻想的な場面が描き出されています。作者は原爆で両親を亡くし、当時3歳だった自身も入市被爆します。そして、これらの体験を生涯のテーマとして制作に取り組みました。本作にも認められる、針で刺すような鋭い点描表現は、両親の遺品を描いた作品などにおいていっそう徹底され、多様な展開を果たした作家にとっての、ひとつの重要な局面を形作ることになりました。

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