オープン・プログラム夏のオープンラボ:澤田華 360°の迂回
2020年8月1日(土)~10月18日(日)
ラボログ|データ版(4.6MB) ラボログ|プリント版(本文)(70MB) ラボログ|プリント版(表紙シール)(0.6MB)
「夏のオープンラボ」は、多彩な表現活動についてさまざまな方法による紹介を試み、美術館活動の可能性を探る、当館における実験場としてのシリーズ企画です。今回は、アーティストの澤田華を紹介します。澤田はこれまで、言葉やイメージの誤読・誤解といった現象に着目し、そこから無限に広がる解釈の可能性を作品として表わしてきました。
みなさんは、電車の中や喫茶店など、同じ場所に偶然居合わせた、見知らぬ人々の声が聞こえてきたら、どうしているでしょうか。自分にとって不要な音や声を遮断する方法はいろいろあるでしょう。澤田は、耳に飛び込んできてしまう人の話し声や会話のうち、はっきりと聞こえた(と本人は思っている)声のみを、機械のように書き留めることで追い払い、無心になれる方法を思いつき、時々実践しています。そして、この行為の後には、一連の過程で多くの情報が抜け落ち、脈絡を失って宙に浮いたようなフレーズが並んだメモが残ります。気づけばそれなりに溜まったこれらのメモは、一体なんなのか、どんな意味を持ち得るのか?メモを見るたび湧き起こるその疑問を出発点として、新作に挑みます。元の文脈から切り離された、あるフレーズの解釈をめぐって、敢えて遠回りをすることで見えてくる、いくつもの景色を楽しんでいただく機会となるでしょう。
また、作品制作でアーティストがたどったプロセスの一端を観客と共有する試みを、市内各所を舞台に展開します。コロナとともにある時代、果たしてワークショップは可能なのでしょうか。この試みは成立するのか、アーティストが実践している、ともすれば不毛にも見えるこの行為に、意味や楽しみは見つかるのか?是非ご参加のうえ、見極め、見とどけてください。
澤田華(さわだ・はな)
1990年京都生まれ、同地在住。2014年、京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業。2016年、同大学大学院芸術研究科博士前期過程終了。主な展覧会、受賞歴に、「あいちトリエンナーレ2019」(愛知、2019)、「群馬青年ビエンナーレ2019」(群馬、2019、奨励賞受賞)、個展「見えないボールの跳ねる音」(Gallery PARC、京都、2018)、「写真新世紀2017年度・第40回公募」(東京、2017、優秀賞受賞)など。
基本事項
会期 | 2020年8月1日(土)~10月18日(日) |
---|---|
開館時間 | 10:00~17:00 |
休館日 | 月曜日(ただし、8月10日、9月21日は開館)、8月11日(火)、9月23日(水) |
会場 | 地下1階ミュージアムスタジオ |
観覧料 | 無料 |
主催 | 広島市現代美術館 |
協力 | Gallery PARC、京都芸術センター、成安造形大学 情報メディアセンター |
ワークショップ(は可能か?)「波立つ心の迂回ルート」
アーティストとともに、人々の声や会話を無心になって拾ってみることを目的に、街中へ繰り出します。同じ場所と時間を共有しながらも、同じ課題を個々人で黙々とこなす、コロナ時代のワークショップ。
※申込不要
※日時、集合場所などの詳細はこちらでお知らせします。
※新型コロナウイルス感染症拡大の状況によって、開催日や開催方法等、変更となる場合があります。
①広島駅編
2020年8月1日(土)14:00~16:30
集合場所:広島駅南口地下広場
持ち物:筆記用具
<参加される方へ>
・マスクの着用をお願いいたします。
・参加時の検温にご協力ください。
・発熱のある方、体調のすぐれない方(咳・咽頭痛などの症状がある方)はご遠慮ください。
・会場にアルコール消毒液を設置します。
②金座街編
2020年9月12日(土)14:00~16:00
集合場所:金座街の現代美術館懸垂幕の下あたり
※集合後、福屋八丁堀本店9F屋上の「八丁堀SORALA」に移動
持ち物:筆記用具
<参加される方へ>
・マスクの着用をお願いいたします。
・参加時の検温にご協力ください。
・発熱のある方、体調のすぐれない方(咳・咽頭痛などの症状がある方)はご遠慮ください。
・会場にアルコール消毒液を設置します。
③室内編
2020年10月17日(土)13:30~16:30
集合場所:広島市現代美術館 1階受付奥 ワークショップ・ステーション
いよいよ最後のワークショップとなりました。8月の「広島駅編」、9月の「金座街編」にて採集した人々の声や会話の断片を利用して、そのときになされたかもしれない会話や、あり得るかもしれない会話を想像して、台本を作成します。あなたの想像力を存分に羽ばたかせてみませんか?
持ち物:筆記用具、自分のスマホと充電器
<参加される方へ>
・マスクの着用をお願いいたします。
・参加時の検温にご協力ください。
・発熱のある方、体調のすぐれない方(咳・咽頭痛などの症状がある方)はご遠慮ください。
・会場にアルコール消毒液を設置します。
「ひとりでも、いますぐできる」
上記ワークショップに参加できない方も、作品制作でアーティストがたどったプロセスの一端を体験できます。詳細はリンクをご確認ください。すてきな迂回メモは、本展にて紹介させていただきます。
#360度の迂回