作品解説

パレスチナ人の両親のもと、レバノンに生まれた作者は、イギリス旅行中に起きたレバノン内戦の影響で帰国することができず、そのままイギリスに留まって美術を学びました。光沢のあるヴェルヴェットの織物にレーザー加工を施し、世界地図を描いた本作は、球体である地球をどのように平面上に表すかという、地図学における投影法（プロジェクション）の問題を扱った作品です。大陸の大きさを現実に近づけたピーターズ図法によるこの地図は、私たちが普段見慣れているヨーロッパ中心の世界地図とは異なり、すべての人々に公平であることが意図されています。