これから

コレクション展
コレクション展2025-Ⅲ+コレクション・リレーションズ [ゲストアーティスト:平野薫]

2026年2月14日(土) — 6月7日(日)

マルセル・デュシャン《フレッシュ・ウィドー》1920/1964

本展では、当館コレクションの特質に親しんでいただくとともに、関連するテーマに沿った内容の展示を紹介いたします。第1室から第3室にかけては「ハイライト」として、それぞれの部屋に添えられたキーワードを通して収蔵作品をご覧いただきます。そして、第4室では、「リレーションズ」と題して、展示内容をコレクションに限定せず、当館の収集方針や収集された作品、あるいは、広島という地域性などと関連した、コレクション展示の延長線上に位置づけられる企画を実施しています。

ハイライト

◯解体力

既存の価値観や表現形式を問い直し、解体する力——それは芸術の根源的な衝動であり、創造の起点でもあります。マルセル・デュシャンが20世紀初頭に提示した「レディメイド」は、美術の定義そのものを根底から覆し、後の表現者たちに大きな影響を与えました。その流れは、ネオ・ダダと呼ばれたロバート・ラウシェンバーグをはじめ、ヌーヴォー・レアリスムやコンセプチュアル・アートの作家たちへと受け継がれ、日本でも工藤哲巳や赤瀬川原平ら「反芸術」の作家たちが、常識や慣習を覆すような作品を生み出しました。こうした「解体」の実践は、私たちの知覚と思考に揺さぶりをかけ、新たな視点を開く契機となるでしょう。

出品作家(※展示予定順)
マルセル・デュシャン、ロバート・ラウシェンバーグ、マルセル・ブロータース、ヨーゼフ・ボイス、クリスト、イヴ・クライン、アルマン、工藤 哲巳、高松 次郎、赤瀬川 原平、中西 夏之、草間 彌生、三木 富雄
 
 
◯変容する力

「解体」の先にあるのは、変容のプロセスです。ここでは、芸術がもつ可塑性——すなわち、環境や関係性のなかで形を変える柔軟な力に注目します。作品は固定された意味を持つのではなく、状況や受け手との関係によって常に変化し、生成されていきます。ドナルド・ジャッドの構造体は、空間との関係性の中で意味を生み出し、ラウシェンバーグは絵画とオブジェの境界を揺るがしながら、物質の変容を促します。森村泰昌や柳幸典も、アイデンティティや歴史、国家といった象徴的な枠組みを問い直し、変容のプロセスそのものを作品化しています。変容とは、解体の先にある創造的な応答であり、芸術が持つもう一つの根源的な力なのです。

出品作家(※展示予定順)
荒川 修作、磯辺 行久、中西 夏之、ドナルド・ジャッド、桑山 忠明、ロバート・ラウシェンバーグ、クロード・ヴィアラ、柳 幸典、宇佐美 圭司、森村 泰昌、杉本 博司
  
 
◯存在と記憶

ここでは、人間の存在、死、時間、記憶、アイデンティティといった根源的な問題に向き合う作家たちを紹介します。クリスチャン・ボルタンスキーは、不在の痕跡や匿名の記憶を通じて人間の生と死の在り方を問いかけます。モナ・ハトゥムは、身体と空間の緊張を通じて、暴力や抑圧の構造を可視化します。アルベルト・ジャコメッティの極端に細く、引き伸ばされた彫像は、人間の存在の脆さとその孤独を象徴しています。これらの作品は、カタカナで記された「ヒロシマ」という歴史的記憶と重なり合い、人間の尊厳と暴力の記憶について深く考える契機を私たちに与えてくれます。

出品作家(※展示予定順)
モナ・ハトゥム、長澤 英俊、クリスチャン・ジャカール、クリスチャン・ボルタンスキー、アルベルト・ジャコメッティ、ギュンター・ユッカー、菱刈 俊作、米田 知子、グレッグ・ヤング、ナンシー・スペロ

リレーションズ

ゲストアーティスト:平野薫

気配這う
このたびゲストアーティストに迎えた平野薫は、物に宿る気配に着目し、古着の衣服などを糸の一本一本にまでほどき、再構成する繊細なインスタレーションをてがけてきた作家です。
2022年4月から9月にかけて、平和大通り沿いに位置するヱビデンギャラリーにて開催された「平野薫『傘』」(主催:広島市現代美術館)では、広島の県内各所で収集した傘を素材としたインスタレーション作品を発表しました。今回の展示「気配這う」では、新作や公開制作を含む傘の作品群に、作家親族の旧家に残されていた織り機、そして家族が撮影した記念写真をもとにした作品を加えて構成されます。
あわせて、当館エントランスホールおよび旧テレフォンブースでも関連作品を展示しています。

マルセル・デュシャン《フレッシュ・ウィドー》1920/1964

柳幸典《ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム 1991- アジア》1991

森村泰昌《階段を降りる天使》1991

モナ・ハトゥム《言いたいことがたくさんある》1983 © Mona Hatoum. Courtesy the artist

アルベルト・ジャコメッティ《男の胸像》1950

どこかで?ゲンビ 平野薫「傘」 展示風景、2022
Photo: Nozomi Tomoeda

基本情報

会期
2026年2月14日(土) — 6月7日(日)
開館時間
10:00–17:00

※入場は閉館の30分前まで

会場
広島市現代美術館 A展示室
アクセス
休館日
月曜日(ただし2/23、5/4は開館)、2/24(火)、5/7(木)
観覧料
一般350(250)円、大学生250(150)円、高校生・65歳以上150(100)円、中学生以下無料

※( )内は30名以上の団体料金
※原爆障害者章、身体障害者手帳ほかをお持ちの方と、その介添者は無料 詳細はこちら
割引
【ハロー!コレクションデー】
毎月第3日曜日:コレクション展無料

ゲストアーティスト・プロフィール

平野 薫(ひらの・かおる)

1975年長崎県生まれ、2003年広島市立大学大学院芸術学研究科博士後期課程を修了。主な展覧会に、「手のひらから宇宙まで」(アーツ前橋[群馬]、2023)、「交わるいと」(広島市現代美術館、2017)、「Remembering Textiles」(tim| Staatliches Textil-und Industriemuseum Augsburg[アウグスブルグ、ドイツ]、2016)など。shiseido art egg賞受賞(2007)、第12回資生堂ADSP選出(2006)、広島市現代美術館「新・公募展」入選(2005)。

https://hiranokaoru.org/

イベント・カレンダー

開館時間10:00-17:00
TEL082-264-1121