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ゲンビ「広島ブランド」デザイン公募2019

募集期間:2019年9月13日(金)~ 11月12日(火)
展覧会:2020年2月8日(土)~2月24日(月・祝)
■ 応募総数 59件
■ 特別審査員 えぐちりか、ナカムラクニオ、目【mé】(荒神明香/南川憲二)

入選作品・展示風景


薮野圭一《花を平和のシンボルに》えぐちりか賞


魏双斌《広島山水》ナカムラクニオ賞、観客賞


髙田明秀《Hiroshima Peace Ring》目【mé】(荒神明香/南川憲二)賞

妹尾隆志《Hiroshima platform》


田中マコト《いろしま(広島の色で誘導する
案内標識)》


西村美桜《宇品ショッピングセンター 
お客様の寝泊まりくつろぎ道路》


福江美冴・滝田紗由希《お好み焼きクリーナー》


藤本聖二《TAKANOHA(タカノハ)》

特別審査員講評


えぐちりか(アートディレクター/アーティスト)

北海道出身。電通にてアートディレクターとして働きながら、アーティストとしても国内外で作品を発表。広告、アート、絵本、プロダクトなど様々な分野で活動中。近年の主な仕事に、ARASHI EXHIBITION “JOURNEY”、 ORBIS「ディフェンセラ」やPEACH JOHNのCM・グラフィック、ベネッセこどもチャレンジbaby教材デザイン、PARCOやラフォーレ原宿などのファッション広告など。イギリスD&AD金賞、スパイクスアジア金賞、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞、岡本太郎現代芸術賞優秀賞、JAGDA賞、他受賞。青山学院大学えぐちりかラボ教員。

eguchirika.com

インスタレーションに、プロダクト、イベントや、建築にサインなどジャンルレスで広島にちなんだ様々なモノ・コトが集まりました。応募された年齢も幅広く、入選された方の年齢も20歳から78歳まで様々だったそうです。こんなに自由なデザインコンペは、今なかなかないのではないでしょうか?自由だからこそ、どんな視点で選ぶかが非常に難しかったのですが、私が選んだポイントは広島らしさとPEACEを感じるデザイン。

えぐちりか賞に選んだ薮野圭一さんのデザインはまさにPEACE。作品だけではなく周りの景色やそこでくつろぐ人までが作品の一部となるこの作品は、細部までよく考えられていて、ぜひ実際にカタチにしたいと思うものでした。広島には風化させてはいけない歴史があるからこそ、そこで暮らす人と訪れた人が平和を感じる場所であってほしい。薮野さんのアイデアからはそんな思いが感じられました。


ナカムラクニオ(「6次元」店主/アートディレクター/山形ビエンナーレキュレーター)

1971年東京都目黒区生まれ。日比谷高校在学中から絵画の制作をはじめ、大学卒業後は映像ディレクターとしてCM、美術、紀行番組などを演出。NHK WORLDでは日本の文化を海外に発信する番組を手がけた。2008年にブック&ギャラリー「6次元」を荻窪にオープン。著書に『人が集まる「つなぎ場」のつくり方』『パラレルキャリア』『金継ぎ手帖』『猫思考』『村上春樹語辞典』『はじめての金継ぎBOOK』『古美術手帖』などがある。

広島は、山と水のある自然の景色がとても美しい。そして、神聖な場所でもあります。さらに、平和を世界に発信できる土地です。そんな広島の良い部分、歴史的な意味を的確に抽出し、うまくデザインとして表現できている作品を選びました。魏さんの作品《広島山水》は、広島の象徴的な建造物を「見立て」によって演出し、空白を想像、妄想させる作品です。伝統的な日本の手法と中国的な立体山水というアイデアを使い、地域の風景を再構築するような魅力を感じました。そして実際に、完成した作品を観てみたいと思いました。広島にあるどこかの共有スペースに展示されてもいい作品です。広島の自然の美しさ、平和を考えるメッセージになると思います。


Photo : Takahiro Tsushima

目【mé】(荒神明香/南川憲二)(現代アートチーム)

目は、アーティスト荒神明香(広島県出身)、ディレクター南川憲二(大阪府出身)、インストーラー増井宏文(滋賀県出身)を中心メンバーとする現代アートチーム。空間を大規模に変容させるインスタレーションなど、手法やジャンルにこだわらず、私たちを取り巻く現実世界の不確かさを実感として抱かせる作品を展開している。これまで参加した主な展覧会に、「瀬戸内国際芸術祭」、「たよりない現実、この世界の在りか」(資生堂ギャラリー)、「越後妻有アートトリエンナーレ」、「目 in Beppu」、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館)などがある。

※ 本展の審査は目のメンバーのうち、荒神氏と南川氏におこなっていただく。

広島への思いが様々なかたちでデザインされたプランを拝見しました。「街と共に生きていく」。あらためてそんなことを考えさせられる貴重な機会となりました。応募プランの中の、水と街の距離感に注目した《Hiroshima Peace Ring》は、新たな体験として広島の景色を私たちに届けてくれるプランとして、ひときわ期待を抱きました。川と海、過去と現在の境界の上に浮かぶボード。好奇心と共に水上を移動する人々の姿は、岸辺からも眺められ、街に新たな景色を添えることになることと思います。実現の際には、ぜひボードのデザイン、漕ぎ手の動作や衣装など、広島の街をより豊かに描いてくださることに期待したいと思います。私たちも一歩ずつですが豊かな街や景色を創造してゆけたらと思います。

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