入選作品

特別審査員賞/谷尻誠賞+福田里香賞

横山 翔一、渡部 太一Shoichi Yokoyama & Taichi Watanabe
[長野県]

《CATCHPHONE》

広島東洋カープの25年ぶりの優勝を契機に今後も増えていくであろう野球ファンのために提案された、グローブ機能付きメガホン。球場でチームを応援するためのメガホンとして使えるだけでなく、いざという時にはホームランボールやファウルボール、選手からのサインボールを楽しく安全に取ることができる。

※販売商品ではありません

特別審査員賞/津村耕佑賞

松田 裕介Yusuke Matsuda
[1985年生まれ、広島県在住]

《献水盤 -Water feature for Atomic Bomb Dome-》

原爆ドームの手摺りのためのデザイン提案。現在の黒い鉄格子の手摺りではなく、原爆ドームの周囲に幅2,3メートルの水盤をつくり、原爆の記憶と現在の生活をシームレスにつなげる。水盤の水は、被爆者への献水としてそこを訪れた人々が元安川の水を手押しポンプで注ぐことができる。

入選(五十音順)

一級建築士事務所 Tree Tree Architect's Office
[広島県]

《SAMON》

広島・宮島の伝統的工芸品として今も続く宮島焼。別名お砂焼と呼ばれるその歴史的ルーツに着目し、波に揺らぐ砂紋のイメージが素朴なやきもののコースターとして実現された。会場では、厳島神社が醸す静かで荘厳な雰囲気を再現しながら、宮島という場所そのものが体感できるインスタレーションが試みられる。


奥 まりなMarina Oku
[1999年生まれ、広島県在住]

《ひろしまくれよん》

宮島、原爆ドーム、広島城、西条の酒蔵。広島を象徴する4つの場所を取りあげて、それぞれを12色セットのクレヨンで表すならどのようになるか。色の名前、色の組み合わせ、パッケージなどをトータルにデザインする商品開発を提案するとともに、広島の「色」をつくろうと試みている。


片島 蘭Ran Katashima
[1988年生まれ、広島県在住]

《Mogamoga +》

デニムの廃材を再利用したクッション。デニムパンツの生産工程の中で捨てられる生地の耳を縫い合わせ、玉サボテンのような愛らしいフォルムと「モガモガ」おしゃべりするような親しみを生みだしている。今回は植物園をテーマにしたインスタレーションが展開される。


毛塚 順次Junji Kezuka
[1971年生まれ、東京都在住]

《晴れた日は布団を干してカープの応援》

広島東洋カープを応援する広島市民の気持ちに重ねて、広島の特産品(備後絣・福山市の木製家具・宮島のしゃもじ)をアピールするためのユニークな提案。会場では映像展示も組み合わされて、さながら陽気な応援合戦が繰り広げられるかのよう。

※販売商品ではありません


又又 matamata
[広島県]

《折鶴アーマー》

広島の平和的シンボルである折り鶴(折り紙)と、各地域のアイデンティティとしての民芸品を組み合わせて、人の手のぬくもりとその存在を感じさせるオブジェを提案。現代の様々な社会問題に対する返信であると同時に、日本の伝統文化の魅力を見直すチャンスにもつながっている。


渡部 高弘Takahiro Watanabe
[東京都在住]

《MIZUKAGAMI》

宮島の鳥居をモチーフにした置き鏡のデザイン提案。卓上で鏡として使用する時は鳥居がスタンドとなり、普段は鏡を海面に見立てたインテリアとして室内を彩る。今回は鳥居が海面に浮かんでいるような静謐で印象的な展示を試みる。

 

特別審査員講評

谷尻 誠(建築家/SUPPOSE DESIGN OFFICE代表)

1974年広島県生まれ。2000年、建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICEを設立。住宅、商業空間、会場構成、ランドスケープ、プロダクト、アート分野でのインスタレーションなど、仕事の範囲は多岐にわたる。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、共同代表の吉田愛と共にインテリアから住宅、複合施設など国内外合わせ多数のプロジェクトを手がける傍ら、穴吹デザイン専門学校、広島女学院大学、武蔵野美術大学、大阪芸術大学にて教鞭を執る。近作に「ONOMICHI U2」「安城の家」「BOOK AND BED TOKYO」など。

広島らしさとは、なんなのか?
設計をしていても、その場所らしさということが、テーマに掲げられることが最近は非常に多い。
その場所の歴史を辿ること、建築の軌跡、地形や道の変化、人々の営み、産業、様々なその場所らしさを探すことなど、多くが考えられるが、最近ではシンプルに、その場所に住んでいる人が、自分のことのように自慢出来るかどうかということが大切なのではないかと考える様になった。
古い建物が新しい機能を持って生まれ変わるならば、全てを新しくするのではなく、過去の歴史を継承しながら生まれ変わることで、昔を語れる状況をつくるように。
今回の審査をするに際し、上記のような視点で応募作品を拝見させて頂いた。
作品をつくるという個人的なことが、どこまで社会という計り知れない流域を射程距離として感じることができるのか、その評価軸で選出させて頂いた。
個人と社会のあいだの距離、その距離を縮めるも良し、曖昧にするも良し、また明確にわけるも良し。
その距離は、作品という形が生まれるときに必ず純度が落ちる傾向がある。
だからこそ、思考の純度と形になったときにどれくらい純度を保ったまま完成しているかを、皆さんに考えて頂きたい。
そして多くの人が自慢し始めたときに、広島らしさが存在しているのではないだろうか。

津村耕佑(ファッションデザイナー/武蔵野美術大学教授)

1959年埼玉県生まれ。82年に第52回装苑賞を受賞し、翌年、三宅デザイン事務所に入社し三宅一生氏の下、クリエーションスタッフとしてパリコレや様々な展覧会に関わる。94年に都市型サバイバルウエアーを考案、自らのブランド「FINAL HOME」を立ち上げる。同年に第12回毎日ファッション大賞新人賞を、2001年に織部賞を受賞。ファッションデザイナーとして活動すると同時に、国内外の多数の展覧会に参加し、時代・社会・都市を見つめる造形作家としても制作活動を続ける。

「広島ブランド」を作る為の様々な提案を拝見し楽しく審査させていただきました。
ユニークなアイディア商品や、市民の参加を促すもの、祈りや思いを伝えるものなどありますが、ブランドになるには長く愛される必要があります。そこで、ひと時の面白さや便利さを求めた商品よりも、市民参加型の企画、多くの人の共感を得てその情報が広がる企画が良いだろうと思いました。反面、実現するには様々な問題をクリアする必要が予測されますが、制作過程も公開してゆくなどして興味を継続させる為の工夫を加える事も重要だと思いました。

福田里香(お菓子研究家)

1962年福岡県生まれ。武蔵野美術大学卒業。レシピ本に『一年中おいしいアイスデザート』(主婦と生活社)、『フードを包む』(柴田書店)など。映画や漫画などの物語を「食」の視点から読み解くコラム集に『まんがキッチン』シリーズ(太田出版・文春文庫)、『ゴロツキはいつも食卓を襲う』(太田出版)など著書多数。商品開発として2015年に柑橘系アイスバー「mikaned」(GOOD NEIGHBORS FINE FOODS)をプロデュース。2016年秋に生地メーカーcoccaとコラボしたエプロン・esiliinaを発表。

今回の新しい取り組みには、建造物やスペースデザイン、グッズや道具、布物、画材、陶器、食品、自動車……などと思いのほか、多種多様な作品が集まったという印象です。
応募作品を通して、広島という場所には様々な切り口があるのだと改めて実感いたしました。しかも最終候補に広島カープのグッズデザインが2点も入っていたことも広島らしいです。
全体の傾向を申し上げると、あと1歩デザインを煮詰めたらいいのに惜しいと思う作品が多かったです。クリエイターならこの部分をデザインするのが一番面白くって思いついたんじゃないの?なぜこの画像でお茶を濁すの?とデザインの詰めが甘いと感じた作品がいくつかありました。本当に惜しいです。
受賞された作品は展示されますので、時間はあまりないですが、展示プランにあたっては観るひとにわかりやすく、自分のイメージをより明確にする努力を期待しています。

ページのトップへ戻る