東松照明ー長崎ー

© Shomei Tomatsu - INTERFACE 長崎県美術館蔵

2016年5月28日[土]-7月18日[月・祝]

展覧会概要

戦後日本を代表する写真家・東松照明(1930ー2012)が50年にわたり撮影を続けた長崎。
広島と同様に原子野となった街の再生を歴史や風土に迫る視点で切り取った、
およそ350点の作品を紹介します。

東松は名古屋市に生まれ、愛知大学を卒業後上京し岩波写真文庫のスタッフとなります。数年後に独立し1959年に奈良原一高や細江英公らと写真家集団 “VIVO” を設立。社会を鋭く見つめることで独自の表現方法を追求し、中平卓馬や森山大道など次世代の写真家に強い影響を与えてきました。

1961年に初めて長崎を訪れ撮影を行い、土門拳らとの共著『hiroshima-nagasaki document 1961』を刊行します。原爆の残した爪痕の深さや被爆者の苦しみに大きな衝撃を受け、その後何度も長崎に足を運ぶことになり、1966年には『〈11時02分〉NAGASAKI』としてまとめました。一方で、長年続けてきた国内の米軍基地の撮影をきっかけに沖縄へ渡り、沖縄の島々や東南アジア各地を撮影し、代表作『太陽の鉛筆』(1975)を出版します。この時期を境に、作品はモノクロームからカラーへと転換していきます。

1998年には長崎へ移り住み、同世代の被爆者と「伴走」するまなざしを持ちながら、長崎各地を歩き、多様な歴史と文化が入り交じる表情豊かな町並み、自然、人々や動物のユーモラスな仕草、長崎を象徴する祭事などを重層的に捉えました。モノクロ作品では計算し尽くされた構図と陰影から沸き立つような力強さがあらわれ、色鮮やかなカラー作品からは細部の質感や手触りまでも感じ取れるかのようです。撮影した年や場所、テーマにとらわれず構成される「群写真」あるいは「曼荼羅」と呼ばれるスタイルによって、社会性と芸術性が時空を超えて共存する圧倒的な世界は、作品の前に立つわたしたちに多くのことを語りかけてくるでしょう。

会期 2016年5月28日(土)~7月18日 (月・祝)
開館時間 10:00〜17:00 ※入場は16:30まで
休館日 月曜日(ただし7月18日は開館)
観覧料 一般1,030(820)円、大学生720(620)円、高校生・65歳以上510(410)円、中学生以下無料
※( )内は前売りおよび30名以上の団体料金
主催 広島市現代美術館、中国新聞社
後援 広島県、広島市教育委員会、広島エフエム放送、尾道エフエム放送
協力 長崎県美術館、東松照明オフィス INTERFACE、AKIO NAGASAWA Gallery/Publishing

東松照明展 見どころ

●戦後写真界の巨匠、没後初の大規模個展
本展は東松照明の没後初めての大規模個展となります。特に長崎シリーズだけを紹介するものとしては過去最大級の350点という規模。戦後日本の写真界を牽引してきた東松の作品世界を心ゆくまで堪能いただける機会です。
●半世紀におよんだ長崎との「伴走」
長い写真家人生の中で様々な土地やモチーフを被写体に選んできた東松照明が、最も長期にわたり撮り続けたのが長崎です。被爆地ナガサキと向き合い続け、多様な文化の交差点としての歴史を持つ長崎に心魅せられた東松。作品からは東松が長崎に寄せた持続的な情熱が読み取れます。
●さまざまな角度で作品世界を体感
本展では東松のモノクロ作品とカラー作品それぞれの魅力を楽しめます。また、展示空間は、撮影年や場所、テーマにとらわれない生前の東松の方法にならって構成。東松作品との対話を心ゆくまでご堪能ください。

作家・作品紹介

(C)Shomei Tomatsu - INTERFACE

© Shomei Tomatsu - INTERFACE

東松照明

  • 1930年代

    1930愛知県名古屋市に生まれる

  • 1950年代

    1954愛知大学法経済学部経済学科卒業 上京し、岩波写真文庫のスタッフとなる

    1956岩波を退社、フリーランスとなる

    1958第1回日本写真批評家協会新人賞受賞

    1959奈良原一高らとセルフエージェンシーVIVO設立

  • 1960年代

    1961長崎を取材し、土門拳らと『hiroshima-nagasaki document 1961』刊行
    同書は第5回日本写真批評家協会作家賞受賞

    1966写真集『〈11時02分〉NAGASAKI』刊行

    XXX
    hiroshima-nagasaki document 1961
    XXX
    〈11時02分〉NAGASAKI
  • 1970年代

    1972沖縄に移住

    1974荒木経惟らとWORKSHOP写真学校開校

    1975写真集『太陽の鉛筆』で日本写真家協会年度賞受賞

    1976同書は第17回毎日芸術賞、第26回芸術選奨文部大臣賞受賞

    XXX
    太陽の鉛筆
  • 1990年代

    1995紫綬褒章受章

    1996「長崎〈11:02〉」(長崎原爆資料館)、「東松照明写真展 Interface」(東京国立近代美術館)

    1998長崎に移住

    1999第31回日本芸術大賞受賞(新潮文芸振興会主催)

  • 2000年代

    2000「長崎マンダラ展」(長崎県立美術博物館)

    2003第56回中日文化賞受賞(中日新聞社主催)、「東松照明の写真 1972-2002」(京都国立近代美術館)

    2004「Shomei Tomatsu:Skin Of The Nation(東松照明:国民の皮膚)」(サンフランシスコ近代美術館他)、
    日本写真協会功労賞受賞(日本写真協会主催)

    2006「愛知曼陀羅-東松照明の原風景-」(愛知県美術館)

    2007「Tokyo曼陀羅」(東京都写真美術館)

    2009「琉球・沖縄2人展」(沖縄県浦添市美術館)

  • 2010年代

    2010沖縄へ移住

    2011「写真家・東松照明 全仕事」(名古屋市美術館)、「東松照明と沖縄 太陽へのラブレター」(沖縄県立博物館・美術館)

    2012.12.14死去

《無題 長崎市戸町》1997年|《時中小学校(現・孔子廟) 大浦町》1963年|《無題 長崎市銀屋町界隈》1997年|《ピンコロの石畳 麹屋町》2000年
© Shomei Tomatsu - INTERFACE 長崎県美術館蔵

左から《無題 長崎市戸町》1997年|《時中小学校(現・孔子廟) 大浦町》1963年|《無題 長崎市銀屋町界隈》1997年|《ピンコロの石畳 麹屋町》2000年
© Shomei Tomatsu - INTERFACE 長崎県美術館蔵

関連プログラム

オープニング記念対談 「東松照明、その素顔と長崎への想い」

2016年5月28日(土)14:00-15:30

出演:東松泰子(東松照明オフィス INTERFACE代表)、今福龍太(文化人類学者・批評家)
会場:当館地下1階ミュージアムスタジオ
定員:120名(要展覧会チケット・半券可)
※当日10:00より受付にて整理券を配布いたします。

東松泰子(とうまつ・やすこ)

東松泰子(とうまつ・やすこ)

東松照明オフィス INTERFACE代表。東松照明の作品プリントを長年にわたり手がける。写真のデジタル化が進むと、写真データの修正などを行う「レタッチ」を担当、作品の仕上げ作業を担ってきた。現在は、作品の出版、展覧会を続ける傍ら、若手写真家の育成にも力を注いでいる。

今福龍太(いまふく・りゅうた)

今福龍太(いまふく・りゅうた)

文化人類学者・批評家。東京外国語大学大学院教授。メキシコ、キューバ、ブラジル、沖縄・奄美群島などに沈潜しつつ混合体と群島のエシックスを探究。著書に『クレオール主義』『群島-世界論』他多数。東松照明との共著に『時の島々』がある。25年にわたる写真論を集成した『原-写真論』(赤々舎)を本年刊行予定。


トークイベント 「森山大道、東松照明を語る」

2016年6月4日(土)14:00-15:30

出演:森山大道(写真家)
聞き手:長澤章生(AKIO NAGASAWA Gallery/Publishing)
会場:当館地下1階ミュージアムスタジオ
定員:120名(要展覧会チケット・半券可)
※当日10:00より受付にて整理券を配布いたします。

森山大道(もりやま・だいどう)
Photo by Alfredo Jaar

森山大道(もりやま・だいどう)

1938年大阪府池田市生まれ。デザイナーから転身し、岩宮武二、細江英公の助手を経て、1964年にフリーの写真家として活動を始める。1967年『カメラ毎日』に掲載した「にっぽん劇場」などのシリーズで日本写真批評家協会新人賞を受賞。
近年では、テートモダン(ロンドン)で行われたウィリアム・クラインとの合同展(2012~13年)他、国内外で大規模な展覧会が開催され、国際写真センター(ニューヨーク)Infinity Award功労賞を受賞(2012年)するなど、世界的に高い評価を受けている。

長澤章生(ながさわ・あきお)

長澤章生(ながさわ・あきお)

Akio Nagasawa Gallery | Publishing(銀座)にて、展覧会、写真集出版を多数手掛ける。主な写真集に、森山大道個人写真誌「記録」、William Klein「TOKYO 1961」、川田喜久治「地図(復刻版)」、須田一政「風姿花伝(完全版)」他。自身のギャラリー以外での展覧会企画を国内のみならず、世界各国で多数手掛け、大阪にあるホテルのリノベーションに際してアーディレクションを担当するなど、活動は多岐に渡る。森山大道写真財団理事。


講演会 「リアリズムを超えてー東松照明による戦後日本の表象」

2016年6月12日(日)14:00-15:30

出演:竹葉丈(名古屋市美術館学芸員)

会場:当館地下1階ミュージアムスタジオ
定員:120名(要展覧会チケット・半券可)
※当日10:00より受付にて整理券を配布いたします。

竹葉 丈(たけば・じょう)

1961年、大阪市生まれ。奈良大学文学部卒業。1987年、名古屋市教育委員会事務局美術館開設準備室に勤務、翌1988年開館に伴い現職、今日に至る。現代美術、写真(史)に関する調査、展覧会企画に携わる。主な企画展覧会に『写真家・東松照明 全仕事』(2011年)など。


写真ワークショップ

2016年7月2日(土)・7月3日(日) 各日13:00-16:30

写真を「見る」「選ぶ」ことに特化した2日連続のワークショップです。
講師:石川直樹(写真家)
定員:25名(要事前申込、申込多数の場合は抽選)
対象:高校生以上で写真を撮っている方(フィルム/デジタル、プロ/アマチュア問わず)かつ、2日間両日とも参加出来る方
※自分が撮影した写真のプリント(20~30枚程度)を持参すること。
会場:当館内(参加者に後日通知します)

参加費:1,000円(2日分)
申込方法:こちら

石川直樹(いしかわ・なおき)

石川直樹(いしかわ・なおき)

1977年東京生まれ。写真家。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。


ギャラリー・トーク

2016年5月29日(日)、6月26日(日)14:00-15:00

本展担当学芸員が展覧会について解説します。

※要展覧会チケット、事前申込不要

 

展覧会カタログ

「東松照明 ―長崎― 展」展覧会カタログ

函入り2冊組、限定1,000部の貴重本。
戦後写真界の巨匠が長崎の地で目にした光景が凝縮されています。
図版189点他、エッセイや年譜などの資料も充実。

価格:2,916円(税込)
ページ数:Ⅰ.167ページ/Ⅱ.77ページ
仕様:B5/2冊組/日英バイリンガル
制作・発行:長澤章生
書籍デザイン:中島浩
函装デザイン:尾中俊介(Calamari Inc.)
翻訳:アンドレアス・ステュルマン
協力:東松照明オフィスINTERFACE

展覧会カタログ 通信販売はこちら

※会期終了後の購入について

売り切れ及び価格や送料が変更になる可能性がありますので、館ウェブサイトのショップページでご確認ください。

[目次]

  • あいさつ
  • <11時02分>NAGASAKI/東松照明
    東松照明、複眼の狩人/川田喜久治
    優れた眼を持つ人/細江英公
    永遠の狩人 東松照明/森山大道
    東松照明と「長崎」へ/寺口淳治
    東松照明―無限のインターフェイス/小島ひろみ
  • 年譜
  • 作品リスト
  • 主要文献目録
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