花子 1949年
NOBUYA ABE

阿部展也―あくなき越境者

2018年3月23日(金)〜5月20日(日)

開館時間
10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日(ただし、4月30日(月・休)は開館)、5月1日(火)
観覧料
一般1,030円(820円)大学生720円(620円)高校生・65歳以上510円(410円)、中学生以下無料 ※( )内は前売り及び30名以上の団体料金、5月5日(土・祝)は高校生以下無料
主催
広島市現代美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
後援
広島県、広島市教育委員会、広島エフエム放送、尾道エフエム放送
協賛
ライオン、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜
《花子》1949年 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵

アベノブヤとは何者か…

阿部展也

制作中の阿部展也(1962年頃)

NOBUYA ABE 1913-1971

新潟県出身の作家、阿部展也(あべ・のぶや 1913-1971)は、瀧口修造との詩画集『妖精の距離』(1937)により若くして一躍注目を集めました。また、雑誌にて作品と評論を旺盛に発表し、戦前の前衛写真の運動にも重要な役割を果たします。

1941年からは日本軍報道部に所属し、出征先のフィリピンにてポスターや写真を手掛けるとともに多くのスケッチも残しました。戦後は、シュルレアリスムからアンフォルメル、幾何学的抽象へと目まぐるしく画風の変転を遂げ、サンパウロ・ビエンナーレをはじめ数々の国際展への出品、持ち前の語学力を活かし国際会議に参加するなど日本国内にとどまらない活躍を果たし、晩年の10年近くをイタリアに過ごします。

また、作品制作のかたわら海外の美術動向の紹介にもつとめ、その幅広い活動によって日本の美術界に影響を与え続けました。 本展では、初期から晩年にかけての主要作品に加えて関連雑誌や写真、下絵といった資料類、さらには彼が日本に紹介した海外作家を含む阿部に縁のあった作家の作品をとおして、国や地域のみならずジャンルや分野を横断し続けた越境者の足跡を多角的に紹介します。

作品紹介

1910 13年、新潟県に生まれる。本名芳文  
大火に遭い、母の実家へ。両親は東京に  
1920 東京の両親の元へ  
1930 静岡県の写真機店を営む叔父の家へ 1
フォトタイムス社特派員として大陸取材
朝鮮、旧満州、内蒙古をまわる
1940 41年、陸軍に徴用、宣伝班としてフィリピンに従軍 2
フィリピン人女優パラルマンと結婚、女児誕生
フィリピンの収容所に抑留
46年、帰国。東京の実家は消失、板橋に
48年、初めて展也を名乗る。新宿区下落合に転居 3
西村敏子と再婚、男児誕生
1950 女児誕生
日本美術家連盟の代表としてインドに7か月滞在
第2回国際造形芸術連盟総会出席のため初渡欧 4
旧ユーゴスラヴィア各地をまわる
1960 58年~61年は半分以上の期間海外を飛びまわる
ドイツ、フランス、スイス、スペイン、イタリア、
アメリカ、インド、パキスタン、イスラエルなど
62年、単身ローマに移住
旧ユーゴスラヴィアより招かれサラエボ市に滞留 5
1970 71年、ローマで逝去

1出発―<妖精の距離>と前衛写真1932-1941

独学で絵画を学びキャリアをスタートさせた阿部芳文(展也)は、瀧口修造との詩画集『妖精の距離』(1937)の挿画により注目を浴びることとなる。また、写真の分野でも他作家との協働や大陸への写真取材を通してその才能を発揮。この時期の阿部の作品は多くが戦災で消失したといわれ、残るのはわずかである。

2フィリピン従軍と戦後の再出発1941-1947

1941年から陸軍に徴用され、宣伝班としてフィリピンに従軍。画家ではなく写真家としての徴用だった。現地で結婚し、家族を得て順調に暮らすが、日本の形勢悪化により終戦を前に収容所に抑留の身となる。1946年に復員し、フィリピン時代に培った英語力でGHQ 将校たちと交流、世界に羽ばたく足がかりとする。

3人間像の変容―下落合のアトリエにて1948-1957

1948年、展也を名乗り、新宿区下落合にアトリエを構える。翌年には再婚し、息子・娘が誕生。この時期は様々な手法を取り入れながら人間像の油彩画を多く残し、自己の表現を模索している。一方、写真に対しても関心を持ち続け、作品を制作。1953年には日本美術家連盟の代表としてインドに7 ヵ月滞在し、現地で数多くの写真を撮影。以降、世界各地の風俗や建造物を独自の視点で収める。

4技法の探求から「かたち」
回帰へ―エンコースティックを中心に1957-1967

1957年、第2回国際造形芸術連盟総会への出席のため欧州を訪れた後、1958-61年は半分以上の期間海外を飛び回り、作品を発表、画家達のアトリエを訪問する。加えて、東西文化の「相克の地」として東欧に関心を寄せた。そして1962年、単身ローマに移住。ルーチョ・フォンタナら幅広い世代の作家達と親交し創作を展開、「材質自体が語りかける」エンコースティックという技法を用い、様々な表現の可能性を追求する。

阿部が日本に紹介した海外作家を含む、
縁のあった作家の作品を紹介。

阿部展也の交友

べン・シャーンルーチョ・フォンタナ宮脇愛子豊福知徳

阿部展也によるプロデュース「現代イタリア絵画展」(1965年)出品作家より

ルーチョ・フォンタナジュゼッペ・カポグロッシエンリコ・カステルラーニピエロ・ドラツィオアントニノ・ヴィルドッツォマリオ・スキファノジュゼッペ・ウンチーニギュンター・ユッカーハインツ・マックオットー・ピーネ

5未完の「越境」1968-1971

阿部の絵画は1967年までに幾何学的な抽象へと移行していたが、国際的な絵画表現の傾向を敏感に察知し、アメリカを中心に普及が進んだ新しい画材、アクリル絵具で彩色する技法を用いるようになる。より純化した色と形の研究を進め、数々の平面バリエーションを生み出す一方で、1971 年からは『芸術新潮』で「遙かなりイタリアの10 年」の連載執筆を始め、イタリアでの業績が日本でも評価され始めた矢先、同年5 月に58 歳で急逝する。

関連プログラム

講演会

講師:五十殿利治(筑波大学名誉教授)

演題:1930年代後半の美術における現実レアル超現実シュルレアル—阿部展也を中心にして

日時:2018年4月14日(土)14:00~16:00

会場:地下1階ミュージアムスタジオ

※申込不要、要展覧会チケット

五十殿利治

五十殿利治(おむか・としはる)

1951年東京生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。北海道立近代美術館学芸員、筑波大学講師を経て、同大学教授、2017年特命教授。『大正期新興美術運動の研究』(スカイドア、1995年)により毎日出版文化賞奨励賞受賞。専門は芸術学・近代美術史。著作・翻訳書を多く刊行するほか、展覧会企画にも関わる。近著に『非常時のモダニズム: 1930年代帝国日本の美術 』(東京大学出版会、2017年)。

ワークショップ「お面をつくろう」

阿部展也作品を題材としたかんたんな工作でオリジナルのお面をつくります。

講師:COCHAE(コチャエ・遊びのデザインユニット)

日時:2018年4月28日(土)①11:00~12:30 ②14:30~16:00

対象:どなたでも参加可。小学3年生以下の場合は保護者の同伴が必要です。

定員:各回20名

※要事前申込、応募多数の場合は抽選

応募方法:

参加希望の回(①または②)、参加希望者の氏名(1通につき3名まで)、年齢、保護者のお名前、住所、電話番号を明記の上、応募フォームまたは往復はがきでご応募ください。

往復はがき宛先:〒732-0815広島市南区比治山公園1-1 広島市現代美術館「阿部展也展ワークショップ」係

締切:4月10日(火)必着

応募フォーム

COCHAE

COCHAE(コチャエ)

“あそびのデザイン”をテーマに活動する軸原ヨウスケ、武田美貴による デザイン・ユニット。 2003年、「折紙をもっとポップに!」をキーワー ドにグラフィック折紙を制作。現在は新しい視点を持った玩具や雑貨の開発、出版企画、商品企画、展示など 幅広い活動を行っている。 折り紙パズル「ファニーフェイスカード」が日本グッドデザイン賞(Gマーク)2008受賞。「kokeshi book 伝統こけしのデザイン」(青幻舎)などの写真集の企画・編集・デザインも手がける。

http://www.cochae.com/

ギャラリートーク

◇ゲストによるスペシャルトーク

講師:松沢寿重(新潟市美術館主幹/学芸員・本展企画者)

日時:2018年3月23日(金)10:30~11:30

※申込不要、要展覧会チケット

◇当館担当学芸員による展示解説

日時:2018年4月7日(土)、4月30日(月・休)いずれも14:00~15:00

※申込不要、要展覧会チケット

アートナビ・ツアー

アートナビゲーターによる展示解説

毎週土曜日、日曜日、祝日 各日11:00~11:30および14:00~14:30(講演会、ギャラリートーク開催時は除く)

連携企画

本展連携企画として、阿部展也の出征地、フィリピンを舞台にした戦争映画『あの旗を撃て』を上映します。

「阿部展也展」関連上映
@広島市映像文化ライブラリー『あの旗を撃て』

日時:2018年4月21日(土)①10:30~ ②14:00~ ③18:00~

太平洋戦争の時代、当時の日本の国策を反映した戦争映画の一つ。フィリピンにおける日本とアメリカの戦いを描きます。フィリピンでロケを行い、フィリピン人俳優も出演して作られ、阿部展也が所属していた日本軍報道部が製作に協力しました。

『あの旗を撃て』

1944年 東宝 108分 白黒 35㎜

監督/阿部豊 主演/大河内傳次郎、大川平八郎、河津清三郎、月田一郎

会場:広島市映像文化ライブラリー

鑑賞料:大人510円、65歳以上250円、高校生以下無料

<広島市映像文化ライブラリー>

広島市中区基町3-1 tel. 082-223-3525

http://www.cf.city.hiroshima.jp/eizou/

展覧会カタログ

[ 目次 ]

  • 阿部展也を求めて|塩田純一(新潟市美術館館長)
  • 写真界への越境者―阿部展也と写真|飯沢耕太郎(写真評論家)
  • 阿部展也(芳文)と『みちしるべ』:日本占領下のフィリピンにおける画家の活動の一断片(再録)|副田一穂(愛知県美術館学芸員)
  • 阿部展也の主な“越境”遍歴

  • ▼図版
  • 第1章 出発 ―<妖精の距離>と前衛写真 1932‐1941
  • 第2章 フィリピン従軍と戦後の再出発 1941‐1947
  • 第3章 人間像の変容 ―下落合のアトリエにて 1948‐1957
  • 第4章 技法の探求から「かたち」回帰へ―エンコースティックを中心に 1957‐1967
  • 幕間 ―Interlude―
  • 第5章 未完の「越境」 1968‐1971

  • 阿部展也自筆文献 再録

  • 阿部芳文についての覚書|寺口淳治(広島市現代美術館副館長)
  • 阿部展也、あくなき越境の遍歴|松沢寿重(新潟市美術館主幹/学芸員)
  • 阿部展也とエンコースティック|上池仁子(新潟市美術館学芸員)

  • 阿部展也 年譜
  • 作家解説
  • 阿部展也に関する基礎的文献
  • 阿部展也 文献目録
  • 出品リスト
  • 阿部展也 パブリックコレクション
  • 価格:2,600円(税込)
  • 頁数:234頁
  • 判型:A4変形
  • 表紙デザイン:大溝裕(Glanz)
  • 制作:印象社
  • 発行:新潟市美術館/広島市現代美術館/埼玉県立近代美術館/美術館連絡協議会

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※会期終了後の購入について

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