ビデオアートプログラムA第69回:アン・サンソク

上映作品について

本作では一人称視点のビデオゲームがシミュレートされています。アンは、ゲームを「あらゆる歴史が混在する仮想空間」であると捉え、「ゲームをプレイすることは、架空の歴史もしくは新たな歴史を作るプロセス」なのだと言います。本作で使用しているゲームはその内容までプレイヤーが自由に書き換えることができます。人物を全くの無抵抗にすることもできれば、落下させたり複製したりと、暴力的なまでの采配が可能なのです。この操作を行うのは制作者であるアンですが、映像作品である本作の画面前にプレイヤーはおらず、画面の前にいる観者が全く知らない内にこのゲームのプレイヤーとして作品に組み込まれるのです。しかし操作に対して何の権限も持ちえない観者は、画面内のプレイヤーが仮想世界の住人を容赦なく弄んでいるのをただ見つめるしかありません。アンは、ゲームという無秩序・無時間的な空間で暴君のごとく振舞うプレイヤーを作り出すことで、誰ともつかない誰かが操ってきた不条理な歴史と、現実世界を駆動させる抗いがたい力を表現しているのです。

アン・サンソク

1985年韓国、スウォン生まれ、同市在住。2010年韓国のサンミョン大学校で写真の学士号を取得。主な個展に2018年「Stinging」OneandJ+1(ソウル、韓国)、グループ展に2014年「ヤング・ポートフォリオ展」清里フォトミュージアム(山梨)、2018年「Exhibition of Exhibition of Exhibition」セシル劇場(ソウル、韓国)、2019年「Liquid Glass Sea: Young Korean Artists 2019」国立現代美術館(クアンチョン、韓国)がある。

上映作品

《群衆の叡智》2018年、カラー、サウンド、8’26”

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