ビデオアートプログラムA第31回:コレクティフ_ファクト

上映作品《事の成り行き》について

ロンドン自然史博物館に集う人々を観察し、彼らの予期できない行動を撮影した映像《事の成り行き》(The Course of Things)は、巧妙な仕掛けによってドキュメンタリーではなくフィクションとして提示されます。ひとつは、物語を導くイギリス生まれの映画監督アルフレッド・ヒッチコックによるナレーションです。『ヒッチコック劇場』と題されたテレビ番組から抜粋された言葉は周到に編集され、サスペンス・ドラマの極意を語ります。さらに映画的カメラアングルやズームアップで捉えられた映像、BGMとして挿入される音楽といった仕掛けにより、博物館は舞台へ、来館者たちは役者へと仕立てられ、ひとつのサスペンス劇が形作られます。現実とフィクションの間の境界を行きつ戻りつしながら、《事の成り行き》は日常がドラマよりもドラマティックであり得ることをユーモラスに示します。

コレクティフ_ファクト

2002年、アンヌロー・シュナイダー(1979年、スイス、ヌーシャテル生まれ)とクロード・ピゲ(1977年、スイス、ヌーシャテル生まれ)のユニット。ロンドンとジュネーヴを拠点に活動し、主に映像を制作する。既存の物語を解体し、再構築、再編集することで別の物語や意味を付与するという手法で、映像における物語の可能性を追求する。書物や資料などから引用された文章の断片、音楽の一部、記憶や現実といった要素が重層的に入り組んだコラージュ的映像作品を手がける。

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