特別展サイト—場所の記憶、場所の力—
2013年7月20日(土)~10月14日(月・祝)
広島、そして世界の様々な場所(サイト)の記憶を表現する。
広島中心部に架かる平和大橋をデザインしたことで知られるイサム・ノグチ(1904-1988)。広島と関わりの深いノグチの作品に、平和記念資料館を設計した丹下健三の依頼により手がけた原爆死没者慰霊碑案がありました。この案は実現を見ずに幻に終わります。本展はこのノグチ作品のように、場所(=サイト)の記憶に触発された美術表現に目を向け、場所の携える物語を可視化する作品を、現代のアーティストの様々な試みによって紹介します。歴史の一側面を形にする記念碑とは視点を違え、身の回りに眼差しを向け、ささやかな詩的瞬間をとらえながら映像、写真、インスタレーションなど多様な手法で新たな造形へと挑戦する美術—モニュメントとは異なる作品のありかた—の可能性を探求していきます。
出品作家・グループ
フランシス・アリス、川俣正、木村友紀、桑久保徹、
トニコ・レモス・アウアド、ゴードン・マッタ=クラーク、
イサム・ノグチ、マイケル・ラコウィッツ、田口行弘、照屋勇賢、
西京人(チェン・シャオション+ギムホンソック+小沢剛)
基本事項
会期 | 2013年7月20日(土)~10月14日(月・祝) |
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開館時間 | 10:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日 ※ただし祝休日の場合は開館し、翌日休館 |
観覧料 | 一般800(600)円、高・大学生・65歳以上400(300)円、中学生以下無料 「アート・アーチ・ひろしま2013」3館共通券 一般1,900(1,700)円、高・大学生1,200(1,000)円 ※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金 |
主催 | 広島県美術館活性化対策事業実行委員会、中国新聞社 |
後援 | NHK広島放送局、中国放送、広島テレビ、広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送、FMちゅーピー76.6MHz、エフエムふくやま、尾道エフエム放送、エフエムはつかいち76.1MHz |
展覧会の見どころ
プロローグ
イサム・ノグチが丹下健三の依頼で平和記念公園に設置するために構想した原爆死没者慰霊碑案(1952)、同じく平和記念公園のために設計し、東京三越での個展で模型が発表された《広島のためのベルタワー》(1952)は、いずれも広島の破壊と喪失に思いを寄せ、手がけられましたが実現を見ませんでした。これらの作品を模型やスケッチなどによって紹介し、広島の記憶にインスピレーションを受けて生まれたノグチ作品を振り返ります。
サイト、喪失の記憶
現代もなお続く、戦争やテロなどによる破壊、喪失の記憶に深く関わる作品を取り上げます。例えば、2003年に勃発したイラク戦争の余波で美術館から盗まれた美術品を、日用品で再び作るマイケル・ラコウィッツ(1973-)のプロジェクトをはじめ、喪失した品々を再び形作ることで、忘却に抗い、存在の代え難い価値を強く訴える作品を紹介します。
サイト、懐かしさの記憶
今いる場所ではないどこかへの思い、離れた故郷や親しい人との思い出あふれる場所へ向かう尽きぬ思いと記憶を形にした表現を、祖父の遺品である写真によって再構成した木村友紀(1971-)、故郷のブラジルを離れ活動するトニコ・レモス・アウアド(1968-)らの試みを中心に取り上げます。
場所から場所へ、移動するサイト
場所は定住の地であるだけでなく、政治的、経済的さまざまな理由で新しい場所で 生き抜くために移動する目的地ともなります。グローバル化する世界で、移動、移民についてテーマにする作品に注目します。川俣正(1953-)、日韓中のアーティストグループ・西京人(2007結成、小沢剛(1965-)+ギムホンソック(1964-)+チェン・シャオション(1962-))、照屋勇賢(1973-)ら、トランスナショナルな視点を携える作家たちのプロジェクトを紹介します。
関連プログラム
2013年7月20日(土)11:00、11:30、14:00、14:30、15:00 
30mins.アーティスト・トーク・マラソン
サイト展参加作家が次々出演。作品について、活動について、アーティスト自身が語る連続トークです。
出演:11:00〜 西京人(パフォーマンス)
11:30〜 トニコ・レモス・アウアド
14:00〜 桑久保徹
14:30〜 木村友紀
15:00〜 照屋勇賢
※参加無料、申込不要
2013年8月3日(土)10:00〜16:00(予定)
田口行弘 ストップモーション映像を作る!
参加作家・田口行弘によるワークショップ。生活を豊かにするのに絶対欠かせない個人的な必需品をひとつ持参してください。これを撮影し制作する、ストップモーション映像作品の制作に加わってくれる方を募集します。
対象:中学生以上
定員:20名
※参加無料、要事前申込
※本イベントを通して完成した作品《Hats》は、田口氏のYouTubeアカウントで公開中です。
*1通につき3名まで応募可
*応募者多数の場合は抽選となります
*携帯メールで応募の場合は、下記アドレスからのメールを受信できるよう設定してください
宛先:〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1
広島市現代美術館「田口行弘ストップモーション映像」係
eメール:hcmca@hcmca.cf.city.hiroshima.jp
2013年8月31日(土)14:00〜15:30 
イサム・ノグチのヒロシマ・プロジェクトを読み解く
幻に終わったノグチのモニュメント、原爆死没者慰霊碑案はどんな構想だったのか? ノグチの目指した「場」の解釈を様々な資料をまじえ、パブリック・アートの視点から、アーティスト・岡崎乾二郎が検証します。
講師:岡崎乾二郎
1955年東京生まれ、造形作家、批評家。
1982年パリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品。近畿大学国際人文科学研究所教授、副所長。
※参加無料、申込不要
2013年9月28日(土)14:00~15:30 
レクチャー「古代メソポタミアの信仰とアートの接点」
マイケル・ラコウィッツ《見えない敵などいるはずがない(再発見、行方不明、盗難シリーズ)》の展示に協力いただいた、岡山市立オリエント美術館の学芸員、四角隆二氏を迎え、特別レクチャーを開催します。古代オリエントの人々が生み出した様々な空想動物は、実在する生物の諸要素を組み合わせた合成獣でした。恵み多いけれども、時に試練を与える自然に対する畏怖の念を視覚化/造形化したものといえます。ラコウィッツ氏の作品に反映されたオリエントの記憶を読み解きながら、失われたものの大きさについて考えます。
会場:ミュージアム・スタジオ
講師:四角隆二(岡山市立オリエント美術館学芸員)
※参加無料、申込不要
2013年10月12日(土)14:00〜15:30 *作家の都合により中止
マイケル・ラコウィッツ アーティスト・トーク
参加作家・マイケル・ラコウィッツによるアーティスト・トークを開催します。
※参加無料、申込不要
※英語(日本語逐次通訳あり)
2013年7月27日(土)、10月5日(土)14:00〜15:00 
学芸員によるギャラリー・トーク
担当学芸員が展示室を回りながら作品の解説をします。
※要展覧会チケット、申込不要
無料配布中
キッズガイド
作品を見るヒントがたくさん詰まった子ども向け鑑賞ガイドを無料配布しています。いろいろな質問に答えたり、考えたり、友だちや家族と話しながら、展覧会をまわってみましょう。
同時開催
2013年7月6日(土)〜11月4日(月・祝)
コレクション展2013-Ⅱ「サイト=ヒロシマ」
特別展「サイト−場所の記憶、場所の力−」の開催にあわせ、美術表現と場所(サイト)との関わりに注目し、当館コレクションから広島をテーマとした作品を紹介します。「ヒロシマ」を主題とした制作委託による作品群をはじめとする、当館ならではのコレクションを通して、それぞれの作家独自の視点から捉えられた広島という場の諸相をご覧いただきます。