特別展小沢剛:透明ランナーは走りつづける


日常に眼差しを向け、人々と関係性を築きながら制作活動を行っていく新しい潮流が、1990年代にはいり日本のアートシーンに生まれました。小沢剛(1965年/昭和40年生まれ)はその潮流を牽引してきたアーティストです。移動を続け、美術のために用意された安定した場所から時に離れ、制作を行ってきた小沢の活動を、本展では“継続型のプロジェクト”に焦点をあて紹介します。小沢が制作活動を続けてきた過去20余年は、冷戦の終焉、日本のバブル経済の崩壊、人・もの・情報が行き交うグローバリズムの訪れ、テロの恐怖の蔓延など、社会的、経済的価値観が転覆し大きく変化していきました。そうした中、小沢は自らの身の回りの事象に関心を向けることに立ち戻りながら、ユーモア溢れる解釈や手法によって現代の抱える矛盾や問題点をやわらかに浮かび上がらせてきました。日常という地平から問いかける小沢は、作品制作のプロセスを重視し、観客として鑑賞するという受動的なポジションから、過程を共有する当事者としても私たちを呼び込んでいきます。旅する先々で作品を制作し、長期に渡って継続しシリーズ化してきました。地域性、社会性を作品に映し出しながら、多様な世界を小沢は黙々と走り続け、目には見えない足跡を刻んでいます。『地蔵建立』、『なすび画廊』など最初期に始まったプロジェクトから『ベジタブル・ウェポン』、リサイクルと循環への関心から生まれた再生紙を使用する新作など、走ることを止めない小沢の活動を追っていきます。

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