ビデオアートプログラムBマックス・アルミー

マックス・アルミー《考える人》
1989年
カラー、サウンド
7’42”

《考える人》は、霊長類がホモ・サピエンスへ、そして言語や宗教、科学や革命を獲得していく人類の「進化」の過程を、テレビ番組を模した映像によってシニカルに描出する。「進化」の様相は、彼がアリストテレスやガリレオ、ニュートンやフロイトなどの各時代の偉人たちの金言を口にすることによって表現される。そして最後の発達段階に至って現代人は、大衆文化に心酔した、陳腐な常套句を無批判に繰り返すようになる。
1980年代のアメリカでは、それまで学問・文化の絶え間ない発展として語られてきたモダニズムの物語が終焉を迎えたことで、19世紀以降信じられてきた進歩史観に対する信憑性が大きく揺らいでいた。その一方で、レーガン大統領の経済政策によって自由競争が加速したことで、都市部には「ヤッピー」の名で揶揄される高学歴・高収入の若者が多く現れた。
本作においては、ヤッピー以前の人類さえ、格言を羅列するのみのペダンチック(衒学的)な愚かさを感じさせ、近代までの歴史もまた必ずしも「進化」とは言えないことを示唆している。アルミーは、現代のスノッブを痛烈に風刺すると同時に、人類の歴史を直線的な発展史とみなす考えに疑義を呈しているのだ。

マックス(マリリン)・アルミー
1948年、アメリカ・ネブラスカ州に生まれる。1970年にネブラスカ大学でファイン・アーツの学士を取得し、ミネソタ大学を経て、1978年にカリフォルニア美術大学のファイン・アーツの修士課程を卒業。1980年代には広告的手法を用いてマスメディアや現代社会に言及する映像作品を制作。文化的クリシェを映像によって辛辣な批評へと変換し、ナレーションや劇場的効果を用いて、人間とテクノロジーのあいだの不安的な関係を探った。現在、ロサンゼルス在住。

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