ビデオアートプログラムB『親愛なるルイーズ』監督:ブリジット・コルナン

『親愛なるルイーズ』
1995年
監督:ブリジット・コルナン
カラー、サウンド
50’00”

本作は、ルイーズ・ブルジョワが84歳のときに作家宅にて行われたインタビューによって構成されています。監督のブリジット・コルナンは、ブルジョワが70年以上日記を書き続けていることから、本作を日記に似た自叙伝として制作するため、可能な限り長時間カメラを回し続けました。そのためかブルジョワは、ほとんど全編にわたってモノローグと言って良いほど淀みなく語り続けています。
ブルジョワの話題は主に、自作の制作意図と人生観、そして家族にまつわる回想です。彼女の生まれた家庭は裕福でしたが、父親は住み込みの家庭教師と10年ものあいだ不貞関係にあり、母親は癇癪を起こしながらも家族の問題と忍耐強く向き合っていたといいます。彼女は別のインタビューで、全ての作品が幼少期の経験から着想を得ていると述べており、とりわけ両親にまつわるトラウマ的記憶や激しい感情はブルジョワを作品制作へと突き動かし続けました。
一方で本作におけるブルジョワは、少女時代の経験について苦々しくも、落ち着いた口調で淡然と話しているように見えます。親しく付き合っていたというコルナンだからこそ、心の傷と静かに対峙する別の作家像を映し出すことができたのかもしれません。

ルイーズ・ブルジョワ
1911年、パリ生まれ。両親はタペストリーの修復家で、少女時代はタペストリーの欠損した部分を補修する仕事を手伝う。ソルボンヌ大学で数学を学んだ後、美術に転向し、フェルナン・レジェらパリの作家たちから教えを受ける。1938年、アメリカ人の美術史家と結婚してアメリカに渡り、3人の子をもうける。1941年には木彫を開始し、ニューヨークのギャラリーや美術館で直立する細長いブロンズ彫刻を発表。その後11年近くブランクを経て、53歳のときに作品制作を再開。1960年代以降は大理石やゴム、布などを用いた有機的な形態の彫刻やインスタレーションを制作する。1982年にニューヨーク近代美術館で大規模な個展が開催されたことで漸くその名が知られるようになり、1993年のヴェネツィア・ビエンナーレにはアメリカ代表として選出される。2010年、心臓発作のため死去。

ブリジット・コルナン
1952年、フランス生まれ。フランスのテレビ局キャナル・プリュスのプロデューサーを務め、多くの美術番組を手がける。また映像作家として、アネット・メサジェ、ジョーン・ジョナス、ジャン・ヌーヴェル、ナンシー・ホルト、ジョナス・メカス、ルイーズ・ブルジョワなど、親しい間柄の作家たちを取材したドキュメンタリー映画を多く制作。現在はニューヨークとパリを拠点として活動している。ブルジョワとは1994年に出会い、亡くなる2010年までの16年間交流。2007年には彼女に取材したドキュメンタリーを三部作として完成させた。

follow us
facebook
twitter
YouTube
RSS

メールニュース