第一部:移動と可動建築

ソウル大学校で東洋絵画を学んだ後、アメリカに渡りイェール大学で彫刻を修了したス・ドホ。1999年、半透明の布地を使ってはじめて韓国の生家を象り建築的作品シリーズを制作します。家族、伝統、国などのルーツを象徴する「家」を、折りたため移動可能な布で再構成することにより、スは移動に身を置く状況から身の回りの空間を、記憶、望郷という概念上の空間と関係づけていきます。さらに生家とロードアイランド州のアパートが時空を超えて衝突するという空想を精密模型で再現する作品への展開など、スのモチーフとして重要な建築的作品を取り上げます。


《ブリッジング・ホーム(リウム・バージョン)》(部分)2012

第二部:ひとびとの力

個は集団の一要素であり、集団は個の集まりから成り立っています。無名の個は集合的な力の前では小さく、社会、国家という共同体の力や権力の大きさの比較には及ばないように思えますが、大きな力を生み出すことも個人があってゆえ。個と集団のあり方は地域によって異なる文化的差異の比喩ともなります。アジア出身のスが、個と集団の関係性を人体とその集合から繊細で緊張感あふれるダイナミックな造形へと視覚化していく実践を紹介します。


《カルマ・ジャグラー》2010
Photo: Jeon Taegsu
All Photographs © Do Ho Suh