作品解説

中国河北省出身の作者は、1990年代に坊主頭の群像や泳ぐ人を描いた絵画のシリーズで脚光を浴び、その風刺的なスタイルは「シニカル・リアリズム」と評されました。幼少期の1966年から77年にかけて起きた文化大革命の体験や民主化運動、89年の天安門事件といった中国の社会状況や価値観の変化は、作者に大きな影響を及ぼしました。88年以来、描き続けている主要なモチーフのひとつである、坊主頭の人物像は、無個性で画一的な大衆を表しています。この人物に指される相手は、本作と向き合う鑑賞者ですが、富農階級の出身であることを理由に糾弾され続けた作者自身でもあるのです。